過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】

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835:1[saga]
2013/02/11(月) 21:33:25.20 ID:V1GJAAgQo
京太郎「？？？　いや、なんで君が？」

後輩「なんで？と訊かれたらなんで貴方はこんな季節に水泳に勤しんでたんですか？と訊き返しますけど」

京太郎「いやそりゃまあ、色々あって……」

後輩「それはこっちもです。色々あったんですよ」

懐かしい。

和から両親を説得してこちらで暮らし始めたと聞いていたが、会う機会が無かったのだ。

和が居ない所では猫を被らない面倒臭い性格までそのまま。

どうやら彼女が、京太郎を助けてくれたようだ。

後輩「それと、これは着替えさせる時に服の中から出てきたものです。失礼ですが、こちらで預かっておきました」

彼女がポケットから、何かを包んだハンカチを取り出す。
広がられたハンカチの中には、砕けた石の欠片があった。

京太郎「ルーベライズ……」

持ち主を不運から守るという都市伝説の石。
存在自体が都市伝説の、実在しない鉱物。

京太郎「(……ああ、そういう事か)」

これは彼女が、京太郎に渡したもの。
だから彼女が、その存在を忘れるはずがない。

彼女が京太郎を見張っていたのなら、肌身離さず付けていた事も当然知っている。

胸の中央、首から下げて目立たぬように服の下に入れておいたのも知っている。

だからこそ、『その場所』を狙って寸分違わず、刺したのだ。

京太郎「(変わってない)」

三文芝居にも程がある。
これは、京太郎が死んだと見せかけるための芝居。

彼が死んだと、彼女の『味方側』に思わせる芝居。

そして「次はもう無い。本当に最後の警告」という彼女からのメッセージ。

京太郎「(まだあの人には、俺の知ってる『松実宥』の部分が残ってる)」

……まだ暖かさの残る、彼女の優しさだ。

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