過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】

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927:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/11(月) 22:26:21.89 ID:V1GJAAgQo
後輩「もう行くんですか？」

京太郎「ああ。ありがとな、今回は世話になった」

後輩「良いですけどね。それに、ちょっと聞きたい事があったんですよ」

靴紐を結んでいる、彼の背中に言葉をかける。
付き合いが薄いからか、それとも彼女が開けっ広げな性格だからか。

ただ単純に、疑問に思っているからなだけかもしれない。

後輩「なんで、そんなに人助けに必死になれるんですかね」

後輩「感謝される保証も、受け入れられる保証も無いのに」

彼女も、うっすらと気付いてる。

「誰にやられたのか」を訊かれても、一貫して隠そうと、誤魔化そうとしている姿勢。
一撃分のみで、彼の体に戦った形跡がない事。
そしてまだ絶好調とは言えない体に鞭を打ち、立ち上がろうとする理由。

勘が良ければ、誰にだって分かる「今の彼の敵」。

だからこその、彼女の問い。

京太郎「そんなもん、求めてないからな」

それに対しての彼の回答はシンプルで、極めて単純だった。

京太郎「俺は、この街が好きだ」

京太郎「俺の好きな人達が住んでいる、この街が好きだ」

京太郎「だから俺は、この街を守る。街ってのはビルでもない、道でもない、店でもない」

京太郎「街を形作るのは人だ。ここに息づく人達なんだ」

京太郎「街とは人だ」

京太郎「俺は、この『街』を守る」

大好きだから、守る。

正義でもなく、道徳でもなく、常識でもなく。

愛しているから、守る。

だからこそ、この街に息づく者ならば、彼は己の敵だって守ってみせる。

たとえその想いが報われなくとも、守ってみせる。

嫌いだから、不都合だから、理解できないから。

そんな理屈は、排除の理由にならない。

手を広げ、受け入れ、その結果刺されたとしても。

きっと、後悔はない。

そうでなければ……きっと、誰かの心まで護る事なんて出来やしないのだから。

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