過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】

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937:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/11(月) 22:35:26.99 ID:V1GJAAgQo
納得した風に、うんうんと頷く後輩。

苦戦していた知恵の輪がほどけたような、そんな顔をしている。

後輩「(……なるほどなるほど。原村先輩が気に入るわけです)」

京太郎「ああ、そうだ。ちょいといいかな」

後輩「何ですか？」

京太郎「さっきの人達の名前、聞いていいか？　絶対に忘れないからさ」

後輩「……なんとまあ。全く、筋金入りですね」

後輩「だ、そうですよ。皆さん」

どこに隠れていたのか、どたばたと音を立てながら駆け寄ってくる四人。
慌てずとも、京太郎は逃げたりなんかしないのだが。

金髪「おおよっ、俺は『十十(もぎき　つなし)』な！」

茶髪「俺は『九九九(いちじく　くく)』」

後輩「私もご存知でしょうけど便乗して。『一二三(にのまえ　ふみ)』です」

男「僕は――」

女「私は――」

別に適当に考えた名前じゃないよ！
実在した名前からとってるよ！
そんな名乗りと激励の言葉が飛び交う中。

口には出さないものの、彼女も彼に激励の言葉を向けた。

後輩「(ま、助けられた恩義は返しましたよ。貴方がそう思っているかどうかは別ですが)」

彼女だって、助けられた者の一人。
大切な人をその手で傷付けてしまうのを止めてもらい。
その上、その人の笑顔を取り戻してもらった。

恩義のある先輩だと、思っている。

後輩「(恩義に報いるってのは、一方的なものです。一方的に恩義を感じて、一方的に守る)」

後輩「(それらが複雑に絡み合って、いつかそれは一方的な物じゃない、双方的な当然の物になる)」

後輩「(それが『絆』。貴方の命を救ったもの)」

後輩「(それを大切にする限り、きっと最後に笑うのは貴方なんでしょうね)」

彼を送り出す彼女の顔は、どこか微笑んでいるように見えた。

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