過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】

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961:1[saga]
2013/02/11(月) 22:53:44.76 ID:V1GJAAgQo
助けを求めている女の子を前にして、少し考えて一歩遅れた自分。
何も考えず飛び出して、複数の男の子を前にして一歩もひるまない少女。

その出だしの差が、自分と彼女の勇気の差に見えた。

そりゃそうだ。

本当に誰かを心配してるのなら、何よりも早く助けに行こうとすることは悪くない。
それがいつだって正しいとは言わないが、それは立派な勇気の証明だ。

彼女は、俺なんかよりも数倍大きな勇気を持っている。

衝撃か感動か、俺が一瞬呆けた隙に状況はめまぐるしく変わっていた。

カッとなっている男の子。
しゃがみこんで震えている女の子。
その子を庇って、一歩も引かない女の子。

この状況で一歩も引かないのは本当にカッコイイが、流石に不味い！

そう思って、双方の間に割り込んで拳を止める。

……これは、ひどい。
というか情けない。
最初から出ていれば格好がついたかもしれないが、これはない。

まるでいいとこ取りだ。
ハゲタカみたいで、男らしくない。

なっさけねー！！

この時、彼女から勇気を学んだ。
勇気がなければ、手遅れになる事もあると学んだ。

そして、彼女に大して振り上げられた拳から。

たとえそれがどんなに正しい想いであっても、力に叩き潰されてしまう事があると知った。

それが俺の、戦う理由の芯の一つ。
だから俺は、戦う意志を折る事無く今日まで来れた。

戦う。

この町に息づく、愚かではないが強くない人々の為に。

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