15: ◆epXa6dsSto
2013/02/09(土) 19:27:42.30 ID:juBpRnU+0
 好きだよ、澪。 
 大好きだ。 
 それは友達に向けた好きじゃなかったけど、恋愛対象に向けた好きでもなかった。 
 家族に向けた好きでもないし、どんな好きなのかは私にも分からない。 
 でも、好きなんだ。 
 ただ、好きなんだ。 
 心の底から大好きなんだ――! 
  
 出来る事ならずっと一緒に居たい。 
 ううん、ずっと一緒に居たいと考えて、不安になるのはもうやめるよ、澪。 
 例えいつか一緒に居られなくなったって、私はただ澪の事を好きで居たいから。 
 それまでは一緒に傍で笑っていよう。 
 月と、地球みたいに傍で――。 
 澪もきっと私の事を月みたいに見ててくれるだろうから――。 
  
  
 「さってと、そろそろ遅くなったし帰らなきゃな」 
  
  
 「そうだな、結構肌寒くなって来たし……」 
  
  
 私と澪は二人で立ち上がり、月明りに照らされて歩いて行く。 
 月に見られながら、二人で歩く。 
 いつの間にか私の心からほとんどの不安は消え去っていた。 
 後は精一杯、梓に贈る歌を練習するだけだ。 
  
 ふと、卒業式の前日、皆で部室に集まろうと私は思った。 
 卒業式前、皆で集まれる最後の学校で皆と笑い合いたいと思う。 
 太陽みたいな唯やムギだけど、私達と同じ様に緊張してるに違いないから。 
 それが『地球』の私に出来る事だと思うから――。 
  
 家の前で澪と別れる直前、 
 私と澪はまたどちらともなく大きな月を見上げた。 
 山の上と変わらず月は同じ場所にあって、私達を照らしていてくれた。 
 月はずっと――、 
  
  
  
  
  
  
 私達を見ていてくれたんだ。 
26Res/24.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。