過去ログ - 老兵や古兵って響きからしてカッコいいよな! というわけでSS書く
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36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/11(月) 18:25:07.90 ID:zd3Kw31so

 言葉を続けようとして、弥助は言うべきことを見失った。
 しばらく意識を虚空にさまよわせてから諦める。
 頭に浮かんだことをそのまま言った。
「強さとは何でしょうか」

 父は逆に問い返してくる。
「お前は何だと思う?」

「分かりません」
 思うままを素直に言葉にする。
「今までは分かっていたようだったのが、分からなくなりました」

 父は笑った。
 珍しいことだ。父が笑うことなどめったにない。
「それでいい。そういうものだ」

 鳥の声が聞こえた。
 姿は見えなかったが、高く響いて近付き、そして遠ざかる。
 風が吹いて庭木を揺らした後、弥助は再び口を開いた。

「でも分かったことが一つ」
「なんだ?」
 顔を上げると、澄んだ空が見えた。夏が近い。

「爺様は、確かに、最高の武人でした」
 高い空に、今度は鳥が見えた。 



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