過去ログ - 【安価】インデックス「フィアンマのばか」フィアンマ「…拗ねるな」
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98: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/02/11(月) 20:17:58.11 ID:AeXdOCla0

彼はしばらく悩んだ後、懐からナイフを取り出す。
簡素な果物ナイフである。上条にもらったものではない。
手入れの行き届いたそれは、太陽光を反射してキラキラと輝いている。
そして、彼はおもむろにそれを首筋へ突き刺した。
頚動脈のある場所を、強引に腕力で切る。ブチ、と嫌な感触が手に伝わった。
勿論とてつもなく痛いので、当然ながら表情は歪む。
ぶしゃぁ、と吹き出した鮮血が、砂浜を汚していく。黄色に近いクリーム色の砂は、一瞬で赤黒く染まった。

唐突な自虐に、或いは、自殺行為そのものに。
神裂が両手で自分の口を押さえ、上条は戦慄して身体を硬直させる。
ただ一人、土御門はさほどの動揺を見せずにフィアンマを見つめ続けた。
げほ、と口から血液を吐きだし、フィアンマはおもむろに自分の血に汚れた手で、上条の手を引く。
そして、土御門の『魔術による幻術ではないか』という疑問を打ち破るべく、上条の右手を自分の傷口辺りへ触れさせた。
ざっくりと切れた傷口。当然、『幻想殺し』は普通の物理現象には作用しない為、何かが破壊された様子は無い。
目の前で流れている血液はフィアンマ本人のもの。フィアンマが負った傷も、見せかけではなく本物。

「…まだ信用出来ないか?」

言いながら、彼は失血による貧血を感じながら、億劫そうにナイフで左手首も切る。
動脈を切られ、血液は再び吹き出し、溢れ出していく。彼の周りには、血だまりが出来ていた。

「も、もうやめろよ!」

上条が慌てて彼の手からナイフを攫う。
本物の人の死に触れたことの無い彼は、今にも泣き出してしまいそうだった。

「どうせ痛い思いをするのなら一度に済ませてしまった方が良いだろう?」

淡々と言う彼の口からは、とめどもなく血液が溢れ出している。
嘔吐するようにして吐き出した体液は、赤黒い。胃液は一切含まれていない。

死なないとはいっても、大量の血液を一度に失えば貧血の症状に陥る。
妙なところで人間らしいフィアンマは、ふらりと倒れそうになった。
そんな彼の身体を、神裂が支える。彼女もまた、上条と同じように泣きそうになっていた。

「もう良いでしょう、土御門!」

聖人の涙声に、土御門はややバツが悪そうに髪をかく。
そして、言葉を返した。

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