過去ログ - 凛「まどか? 聞いたことの無いサーヴァントだわ」
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631: ◆7F1xhg7Fvs[saga]
2013/02/22(金) 00:23:58.62 ID:y8h6pZnio
今にも消えそうな夕陽が、辛抱強く刻限に抗い続けている。
上弦だけを残した日。もはやその赤光は線。水平線上に輝く赤い線。

その赤い線に向かって、ランサーが赤い槍を向けている。
あぐらをかいたまま不動。手先はまったく震える事無く、その先の槍も震えることは無く。
海面上にたゆたう夕陽の輝きと対照的。視界の中心で静止する青い男は、一枚の絵画のようだ。

人の身体は常にわずかに振るえている。それは生きている証であり、魂の鼓動なのだ。
だから完全に動きを止めるなんてことは、人にできるはずがない。
息を止めても心臓が動く。血流を止めても心が動く。その身に魂を宿す限り、身体の微細な揺れは止められない。

バスや電車の振動が眠りを誘うのはそれが人の揺れに近いからで、呪術師が身体をゆするのは魂の波動を強めるため。
手のひらに薄く大きな紙を乗せて揺れを実感させる、なんていうのは催眠術の導入にも使われる。
もっともこの場合は空気の揺れも影響しているけれど。

ともかく人があれほど完全に静止しうるのは絵画の中だけのはずだった。
魂を宿している限り、人は止まれない。あれほど完璧に止まることができるのは、私のような、魂を抜きだした傀儡だけのはずで。
そして肉だけの操り人形たる私は、きっとあれほど綺麗に止まることはできない。


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