過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：九巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：九巻目【都市伝説】

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472:1[saga]
2013/02/12(火) 03:07:22.88 ID:KC87cgxjo
宥「……それが、私のホントの気持ち」

宥「ごめんね……いままで、ずっと、言えなくて」

血を吐くような独白。
搾り出すような懺悔。
彼女の目に浮かぶ涙が、その心中を物語っている。

苦しくて、寂しくて、怖くて、それでも一人が嫌だった。

そんな、子供の頃から溜め込んできた気持ち。

京太郎「……良かった」

京太郎「俺の生き方は、間違ってなんかいなかった」

宥「え？」

京太郎「こうやって、貴方の寂しさを埋められる」

彼は少しだけ嬉しそうに、頭を掻いてから
。
もう何の力も残っていない、そんな彼女の右手を両手で包む。

京太郎「こうするだけで、お互いの体温って伝わります」

京太郎「暖かくて、それだけで『一人じゃない』って思える」

京太郎「……まだ、寂しいですか？」

宥「……ううん」

彼女も残った左手を重ね、柔らかに微笑む。
両手から伝わる熱。寂しさではない、暖かさ。

この戦いの転機が、京太郎と四人の少女の手が重ねられたあの瞬間であるように。

ただ、手を繋ぐだけ。

それだけでも、人は繋がり、寂しさは消え失せる。

彼の生き方は、彼女に手を伸ばした生き方は。

宥「あったかいよ」

間違ってなんか、いなかった。

第十一話：完

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