過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：九巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：九巻目【都市伝説】

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65:1[saga]
2013/02/12(火) 00:07:26.26 ID:KC87cgxjo
一「じゃあ、後お願いね。歩」

歩「お任せを。はじめさんの抜けた穴、一日ぐらいならバッチリ埋めちゃいますよ！」

龍門渕邸。
そこで、普段着に着替え門をくぐる一。

彼女は今日、生まれて初めて……龍門渕の仕事より、別の事を優先した。

「一」

一「……透華」

そんな彼女に、かかる声。

透華「貴女がこんなに早く自立できるなんて。嬉しいやら、寂しいやら」

一「そんな事ないよ。ボクは何一つ変わってない」

透華「いいえ。貴女がこの家より……いえ、家族より何かを優先する事など一年前はありえませんでしたわ」

一「……」

透華「貴女は家族を愛し大切にするあまり、それが枷になっていましたから」

家族を失い、家族を手に入れた。
だから彼女は家族の暖かさと、それを失う恐怖を知っている。

だから、何よりも『家族』を優先してしまう。
それは美点であると同時に、欠点でもある。

だけど、今日。

彼女は、間接的とはいえ……家族ではなく、友を優先した。

一「呼んでるんだ。ボクの友達が。唯一の観客が」

一「だから、行かないと。ボクがボクであるために」

透華「……ええ。そう、その意気ですわ」

透華「では、優雅に、かつ目立って来なさい！」

一「うん！」

透華「わたくしが貴方の家族であることを誇れるほどに、存分に！」

一「まっかせて！」

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