100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/10(日) 00:48:39.96 ID:1rpRl+2Eo
「好きだよ」
僕は即答した。明日香の僕への献身を裏切ることはできない。
「もしもだよ? もしもあたしが本当の妹じゃなくてあのままあたしと奈緒人さんがお付
き合いしていたとしたら」
「何を言いたいの」
「そういうときに明日香ちゃんがお兄ちゃんに告白してきたら、お兄ちゃんはどうす
る?」
考えるまでもないことだったから僕は即答したのだけど、今にして思えばもう少し考え
るべきだったかもしれない。僕は明日香のことが好きだ。今では自分の彼女として他の女
の子なんか考えられないし、プロポーズだってしたばかりだった。でも、奈緒が妹ではな
くて僕の彼女のままだったとしたら、僕が奈緒以外の女の子に目を向けるはずがない。だ
から、僕は正直に答えた。
「今となっては仮定の話だけど・・・・・・。あのときの僕は奈緒以外は目に入っていなかった
から、奈緒が僕の彼女だったら明日香の告白は断っただろうね」
奈緒はまた微笑んだ。
「お兄ちゃん、やっぱり今でもあたしのこと好きなのね」
「何言ってるの。今は僕は明日香のことが・・・・・・」
「もういいよ。今日はあたしの家族の話とかしたかったんだけど、お兄ちゃんの気持ちは
わかったからもう今日は開放してあげる。明日香ちゃんのところに行かなきゃいけないん
でしょ?」
「・・・・・・いいのか」
「いいよ。これからも朝一緒に登校してくれる?」
「ああ。でも土曜日はもう迎えに来れない。明日香を放っておけないから」
「仕方ないか。じゃあ土曜日は許してあげるよ。あたしは有希と一緒に帰ればいいし。で
も平日は、いつもの電車に乗ってよね」
明日香は徒歩通学だったので、これくらいはいいだろう。正直に言うと僕だって奈緒と
接点がなくなるのは寂しかったし。でもそれが再会した妹への気持のせいなのか、この間
まで彼女だった奈緒への想いのせいなのかは自分でも判然としなかった。
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