106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/13(水) 00:13:49.66 ID:X0l/dJT5o
とりあえず僕は奈緒を送っていくことにした。最初からそれだけはするつもりだったし。
このときのファミレスでの話し合いでは、奈緒もまた初めてできた彼氏が実の兄だったと
いうことに悩んでいたことがわかった。
僕は複雑な気持だった。恋人だった奈緒が実の妹だと知って苦しんでいた僕は、奈緒も
また同じ悩みを持っていたことを聞くことができた。つらい別れ経て再会してた兄に対し
て無邪気に喜んでいた奈緒の態度に、僕は嫉妬じみた感情を抱いていたのだからそのこと
自体は嬉しかった。
でも、よく考えると何も解決はしていない。奈緒の告白が、これまで抱いていた奈緒の
気持に対して僕が抱いていた理不尽な嫉妬心を宥めてくれたことは確かだった。でも今で
は僕には明日香がいる。多分、今では誰よりも大切な女の子が。ようやく恋人として奈緒
のことを考えなくなるようになり、本気で好きだと思えるようになった明日香には話せな
いような内容の話し合いになってしまった。
明日香と付き合う前なら僕だって今日の奈緒の態度を喜んだかもしれない。でも今では
僕の彼女は明日香なのだ。今の僕は文字どおり身も心も明日香と結ばれている。
それに奈緒の本当の気持は理解できたような気はするけど、依然として彼女が僕の実の
妹であることには変りはない。奈緒が僕のことを男性として好きでいてくれたとしても、
僕と奈緒の関係にこの先の未来はないことは変わらない。
駅のホームでやたらに寄り添ってくる奈緒を拒絶もできずにいた僕は、今日彼女に聞い
てみようとしたことを思い出した。
「なあ」
「なあに、お兄ちゃん」
「実はさ・・・・・・。母さんから父さんにメールが来たみたいでさ。今の母さんと父さんが揉
めているみたいなんだけど」
「母さんって? あたしたちのママのこと?」
「うん。詳しくはわからないけどさ、母さんっていうか奈緒の母親が僕の父さんにメール
で、僕と奈緒が仲良くしているのをやめさせろみたいなことを言ってきたみたいなんだ。
そのせいで父さんと今の母さんが喧嘩しちゃってさ」
それを聞いても奈緒の表情には驚いた様子は見られなかった。
「そうか。ママらしいね」
「家で何かあったの?」
奈緒はそれには答えずに、僕の腕にしがみつくような仕草をした。
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