過去ログ - ビッチ・2
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111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/13(水) 00:26:24.07 ID:X0l/dJT5o

 このあたりで僕はだんだんと奈緒が何を言いたいのかわからなくなってしまっていた。
いや、わからないというより考えたくないと言う方が正しいのかもしれない。マキさんは
何で奈緒と僕が再会すると、お互いが不幸になるなんて考えたのだろうか。何より、奈緒
と僕のあの朝の出会いは偶然ではなかったのだろうか。

「あの朝ののこと、あれは偶然の出会いじゃなかったのか」

 僕は震える声で奈緒に聞いた。

「自分から行動しなきゃいつまでも望みはかなえられないって思ったし、このままじゃも
う一つの大切な夢の方も叶わないかもしれないって考えるようになったから。そう思って
いたのは本当だよ」

「じゃあ、おまえがあんな早い時間に駅前の高架下にいたのは、自分の兄と・・・・・・僕と会
うためだったの?」

「そうじゃないの。あの朝は本当に偶然だったの。あの日は学校の課外学習の日で、あそ
こで有希ちゃんと待ち合わせしてたのね。そしたらいきなり雨が降って来て、おまけに有
希ちゃんから電話が来て急用が出来たから今日は課外学習休むって言われてどうしようか
と思っていたの。そしたら知らない年上の男の人が傘に入らないか? って聞いてきた」

「・・・・・・僕のこと待っていたんじゃないのか」

「違うよ。もうそろそろ自分でお兄ちゃんに会いに行くべきだとは考えていたけど、あの
ときは完全に偶然だよ。だからあれはすごい偶然だって言ったんじゃない」

「あたしは今のお兄ちゃんの面影なんか知らなかったから、それがお兄ちゃんだとは思わ
なかった。駅前で立っていたくらいで簡単にお兄ちゃんと再会するなんて思ってもいなか
ったからね。ただ、傘に入れてもらって駅まで送ってくれた男の人が気になって・・・・・・、
自分でも惚れっぽいなって思ったけど、その時にはもうその人のことが、奈緒人さんのこ
とが好きになってしまってたんだよ」

 奈緒が本当のことを話しているとすれば、僕と奈緒はやはり凄いくらいの偶然のおかげ
で再会したのだ。それに奈緒はさっき僕と付き合い出したあとに僕が兄であることを知っ
て悩んだと言っていた。最初から兄に会うためにあそこにいたのならそんなことに悩むわ
けはないし、第一僕に告白なんかするわけがない。

「お兄ちゃんの思っているとおりだよ」

 奈緒は僕の表情から僕の考えていることを読み取ったようだった。

「うん。そうだよな」

「ただね、お兄ちゃんは勘違いしていると思うんだけど」


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