130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/19(火) 23:04:50.33 ID:5oVkFcZbo
「博之が何か知っていると思うんだ。あいつは叔母さんにひどいことした犯人の仲間では
ないとは思うんだけど」
何で明日香は池山が犯人じゃないと言い切れるのだろう。確かに明日香は池山に救われ
た。それは平井さんから聞いてもいたから事実だろう。でもその動機については結局何も
聞いていない。ただ元カノである明日香を飯田に取られるのが悔しかっただけけもしれな
いじゃないか。仮にあいつが明日香のことは今だに大切に考えていたとしても、玲子叔母
さんには平気で残忍な態度を取るようなやつかもしれない。偏見と嫉妬から思考にバイア
スがかかっているのかもしれないけど、ああいうやつならそうであっても不思議はない。
僕は昨晩考えていたことを話すことにした。あまり直接的に表現して叔母さんを再び傷
つけないよう注意しながら。
「とにかく池山が関係者であることは間違いないよね。あんなメールを送れる立場にいた
んだから。それにあのメールのタイミングはおかしいよ。本当に善意で明日香に連絡して
きたのなら、あんなになる前に知らせてきたはずだよ。もっと早く連絡してくれてたら、
警察に通報するとかして、叔母さんがあんなひどいことをされる前に・・・・・・」
ちょっと言い過ぎたかもしれない。明日香に反論するにしても叔母さんに嫌なことを思
い出させてはいけない。でも叔母さんは何も言わなかった。
「もちろん博之は何かを知っていたからメールしてきたんだとは思うよ」
明日香は僕が微妙に不機嫌そうな様子であることに気がついたようだ。僕をなだめるよ
うな口調で明日香はそう言った。
「あいつが叔母さんが襲われることを知っていたことは確実だろう。あんなメールを寄こ
したくらいだし」
「だけど、彼は叔母さんを助けたくてあたしにメールしてきたんだと思うの」
「落ち着いてよく考えてみようよ。叔母さんは池山から指定された場所に行こうとして、
明らかに待ち伏せしていたとしか思えない男たちに、その」
「あまりあたしに気を遣わなくていいよ」
叔母さんがそのとき冷静な声で言った。「あのときあたしは高校生くらいの男の子たち
に襲われたの。もうあまりあたしに気を遣わなくていいから」
「ごめん」
「だから気を遣うなって。もうあたしは立ち直ったんだからさ」
叔母さんがほんの少しだけ僕の方を見て微かに微笑んだ。それは一瞬の出来事だったか
ら明日香がその微笑に気がついたかどうかはわからなかった。
「・・・・・・あのとき叔母さんとの待ち合わせ場所や時間を指定した池山が怪しいと思わない
おまえの考えの方が、僕には理解できないけどね」
明日香はあいつに未練があるのだろうか。明日香は自分の大切な叔母さんを汚した仲間
かもしれない池山に肩入れし、今では婚約者であるはずの僕の話にも納得していないのだ。
「何で明日香は池山が善意で行動したって思うの?」
「お兄ちゃんが知っているかどうかはわからないけど、博之はあんな仲間とバカやって遊
んでいるけど、本当はまともな考えをずっと持っていた人から」
「明日香・・・・・・」
おまえは僕より元彼の方を信じるのか。
「前にお兄ちゃんの親友の兄友さんにも言われたことがあるの。池山はあんなバカだけど、
根は本当にいいやつだし、本気で曲がったことをするようなやつじゃないって」
確かにそんなことをかつて兄友から聞いたような気がする。あれは奈緒と付き合い出し
たばかりの頃だった。
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