156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/27(水) 23:54:28.03 ID:/HL4si7bo
「で、その叔母さんがどうかしたのか」
平井さんがちらりとフロントウィンドウの外を眺めた。鑑識らしい人たちがいつの間に
か到着していて、何やら地面を調べている様子だ。外は薄暗くなってきていたけど、鑑識
の人の前の地面に赤い液体が飛び散っていることに僕は気がついた。明日香に気がつかせ
るわけにはいかない。それで僕は思い切って話を進めることにした。
「その叔母さんが、あ、叔母さんは神山玲子っていうんですけど。叔母さんは雑誌社に勤
めていて、脱法ドラッグのことを取材しようとして誰かに襲われたんです」
それまで早く僕たちから解放されて偽警官のことを調べたがっていた様子だった平井さ
んが驚いたように僕を見た。
「襲われたって・・・・・・いったい何があったんだ」
僕は自分が知っている限りの情報を、自分の中で整理しつつ順序だてて平井さんに説明
した。
叔母さんの取材相手が、池山という苗字の相手だったこと。
叔母さんが知っている取材相手の連絡先の捨てアドは、明日香の知っている元彼の捨て
アドと同じもので、しかもそれは脱法ドラッグの販売サイトの管理人のアドレスと同一で
あること。
池山と会う約束をした叔母さんが指定の待ち合わせ場所に向かう途中で、複数の男に襲
われ、殴られた叔母さんが気を失っている間にどこかの建物の中に連れ込まれたこと。
「それで? それでおまえらの叔母さんは何をされたんだ」
そこからは僕たちも叔母さんからははっきりとは聞かされていなかった。最初は僕も明
日香も叔母さんの身に最悪の事態が訪れたのだろうと思っていた。でも、今ではそれは判
然とはしない。叔母さんはさっきこう言った。
『あたしが犯されたとか変なこと言うのやめろ』
『ごめんじゃないよ。あたしはそんなことされていないよ。されかかったかもしれないけ
どさ』
そのときの叔母さんは顔を赤くしたけどその口調ははっきりしていた。その言葉を信じ
るなら叔母さんは犯されてはいないのかもしれないけど、僕は叔母さんの白い裸身に散ら
ばっていた赤い痕をはっきりとこの目で見たのだ。
「暴行されたかされかかったんだと思います。何で叔母さんがそんな目にあわなきゃいけ
ないのかわからないけど」
それから僕は明日香の携帯に来たメールのことを説明した。叔母さんを助けるように示
唆したそのメールが、池山の捨てアドから送られてきたことも。
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