184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/06(土) 23:55:35.39 ID:kx64WKy1o
何だか嫌な予感がする。
これまで自分を包んでいた秩序が崩れて行くような感覚にあたしは狼狽した。こんな乱
暴で性急な愛撫はパパらしくない。それはあたしが組織を固める過程で、あたしが抱かれ
てあげたときの池山のような未熟で青臭い行為にそれは近かった。
それでもあたしは、いつものパパらしくない稚拙で欲情や感情を剥き出しにした乱暴な
愛撫に喘ぎ出してしまったのだった。
結局、海辺の国道を走行中にあたしは自分の意に反して一度絶頂を向え、パパもあたし
の口の中で自分の欲望を開放した。車内には澱んだ空気とともにそういう行為に伴う独特
の匂いが充満していた。運転手の中井さんは何も言わずに後部座席の窓を少しだけ開けて
車内のすえた匂いを換気した。
別荘に着いたとき、あたしはバスルームに直行して身体を洗い流し、ついでにうがいを
した。パパのペースに巻き込まれてしまったようだったけど、パパの方だってあたしを愛
撫することにより奈緒への気持を誤魔化そうとしたように思えてしかたがなかった。
パパも何だか得体の知れない想いから逃げようとして、あたしの身体に手を伸ばしたん
じゃないかって思った。パパも過去の怜奈叔母さんの思い出に悩んでいたのかもしれない。
さっぱりとして、と言っても相対的なものだけど、少なくともパパの唾液の匂いから開
放されたあたしが別荘のリビングルームに戻ると、パパも着替えを済まして革張りのソフ
ァに沈み込むように座って何か法律関係の雑誌を見ていた。
とりあえずあたしは気になっているビジネスの方を最初にパパに相談することにした。
奈緒の話はそれからだ。あたしにだってビジネス上の繋がりで世話をしなければいけない
やつらがいっぱいいるのだし。
あたしはパパの隣に座った。
「奈緒人君ってどんな男の子なんだ」
相談しようとした矢先にあたしは機先を制止された。パパはあたしの相談を聞く気分じ
ゃなかったみたいだ。そんなに奈緒のことが気になるのだろうか。
「パパって奈緒人さんのこと、そんなに気になるの」
あたしは蔑むような目をパパに向けた。あたしの身体を弄んだのだからパパはあたしの
は話を聞くべきなのに、あたしの大事な相談を聞く気もしないくらいに奈緒や奈緒人のこ
とが気になるのだろうか。人と人との関係を維持して行くにはルールが必要だ。それが法
であれ暗黙の了解であれ。あたしはパパにそう教わったのに、今日はパパの方がルール違
反をしている。
「麻季さんの息子さんのことだからね」
パパが雑誌を置いてあたしの方に向き直った。
「麻季さんは関係ないでしょ。奈緒が好きな男の子のことが気になるだけなんじゃない
の?」
パパが少しだけだけど気まずそうな表情をあたしに見せた。
「別にそういうわけじゃないけど」
「・・・・・・奈緒人さんの何が知りたいの。奈緒と奈緒人さんの関係?」
「いや。悪かったよ。何でもない」
本当にバカだなパパは。考えていることが丸わかりだ。パパはあたしの言葉に動揺して
いるのだ。そして自分が姪の、怜奈叔母さんそっくりの奈緒の彼氏となる可能性に期待し
つつも、当の奈緒が気になっている奈緒人さんに対する関心を隠せないのだろう。
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