過去ログ - ビッチ・2
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234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 00:04:32.32 ID:1Ed2VqjZo

 水族館で盛り上がらないデートをした翌日になっても明日香の態度は変わらなかった。

 いったい明日香に何があったのだろう。奈緒や玲子叔母さんに対する僕のふらふらした
煮え切らない態度や池山の容態。それらは明日香の心の負担になっていたことは間違いは
ない。でも、身勝手に言えばそれは昨日はじまった話ではない。そういうことを乗り越え
て明日香と結ばれたのだと、僕は考えていた。

 それ以外に明日香を怒らせたり明日香が不安を覚えるようなことがあったのだろうか。

 今日は日曜日の朝七時だから、まだ明日香が起きてこないのはいつものことだった。明
日香が起きてきて顔を合わせるのがつらい。

 明日香が起きるまでの間、僕は必死に考えた。それでも考え得る限りでは、明日香を怒
らせたり心配させたりするような行動は自分では思い付かなかった。

「おはよ」

 明日香がそう言ってリビングに入って来た。少し寝癖が付いた髪の毛や乱れたスウェッ
ト姿。そんな妹は可愛かった。ただ、その表情は昨日と同じでいつもの明日香の元気で積
極的な様子は全くない。

「おはよう明日香」

 僕はそう答えたのだけど、明日香は僕の方を見もしなかった。

「朝ごはん食べる? 何か作ろうか」

「いい」

 僕の申し出は一瞬で拒否されてしまった。

「じゃあコーヒーを入れるよ」

「いらない」

「紅茶にしようか?」

 明日香は返事もせずにソファに座ってリモコンでテレビのスイッチを入れた。朝の天気
予報がリビングに流れ出した。

「せっかくの日曜日なのに今日はこれから雨か」

「・・・・・・そうみたいね」

 相変わらず僕と目を合わせずに明日香は答えた。

 それでも話しかけた言葉に反応してくれたことが嬉しかった僕は話を続けた。

「今日の予定は?」

 明日香は答えてくれない。

「雨だけどせっかくの日曜日だしどっか遊びに行く? どうせお昼ご飯だって食べなきゃ
いけないしさ」

「今日はママたちお昼前に帰ってくるって」

 明日香がそれだけ言った。

「そうなんだ。じゃあ午前中はゆっくりしようか。お昼は久し振りに母さんの手料理か
な」

「知らない」

 ・・・・・・もう無理だった。


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