過去ログ - ビッチ・2
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241:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/12(水) 23:18:50.01 ID:kCQODl6lo

 校門から入ってくる僕に気づくと兄友と女さんが僕の方に来た。

「この間は悪かったな」

 兄友が僕に話しかけてきた。

「いや」

 とりあえず僕はそう返した。

「本当にごめんね? 奈緒ちゃんのことがかわいそうだったから、つい厳しいこと言っち
ゃったけど奈緒人君が女性慣れしてないせいだとか、言わなくても良いことを言っちゃっ
た」

 女さんもしおれた声で僕に謝ってくれた。

 それこそ言わなくても良いことだと思ったけど、本気で悪いと思っていることは感じた
ので僕はもう彼らを恨みに思うのはやめようと思った。それに今の僕はそれどころではな
かったのだ。

「もういいよ。僕の方こそむきになってごめん」

「ううん。あたしたちが悪かったの。奈緒人君ごめんなさい」

 気の強い女さんにしてはずいぶんと殊勝な態度だったから、僕はそのことに内心少し驚
いた。兄友もまるで不意をつかれたかのように女さんの方を見た。

「本気じゃなかったの。あたし、奈緒人君のことはよくわかってるつもりだし。君が女の
子にもてたからといって、いいい気になるような男の子じゃないなんて最初からわかって
た」

「あ、うん。わかってもらえたなら、僕は別に」

「あたし、ちょっと奈緒ちゃんと妹さんに嫉妬しちゃったのかな」

 女さんがふふって笑った。そのときにはもう女さんの顔には申し分けそうな表情は消え
ていた。その微笑は、少しだけからかうようなそれでいて寂しいような複雑な笑いだった。

「あたしの方が君のことを振ったのに、何であたし奈緒人君にムカついたんだろ」

「な、何?」

「ふざけるなよ」

 兄友が口を挟んだ。

「何よ」

「おまえってどこまで自分勝手なんだよ。今朝はただ奈緒人に謝るって二人で決めたじゃ
んかよ」

「だから謝ってるじゃん」

「奈緒人の彼女に嫉妬するって今言ったじゃねえか。おまえ奈緒人のこと好きだったのか
よ」

「好きだなんて一言も言ってないでしょ。あんたの方こそ何でみっともなく嫉妬してるの
よ」

「おまえ今言ったじゃねえか。奈緒ちゃんと明日香ちゃんに嫉妬しちゃったってよ」

「うるさいなあ。浮気しているあんたにそんなこと言える権利があるの」

「だから、誤解だって。だいたいよ、奈緒人は明日香ちゃんのことが好きなんだから
な。おまえなんかが割り込めるって思ってるならいい笑い者だぜ」

「うるさいなあ。そんなんじゃないって」

「じゃあ、何でだよ」

「浮気男には答える必要なんてありません。それに前に奈緒人君はあたしに告白してくれ
んだよ。ね? 奈緒人君」

 何を言っているのだ。どうもこの二人の痴話げんかに巻き込まれているようだけど、僕
に謝るとか言いつつ痴話げんかを繰り広げるのはやめてほしい。それに僕が昔女さんに告
白したことはもう忘れて欲しかったのに。


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