266:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 22:26:17.02 ID:Is8mwlDMo
「どういうこと?」
「さっきのは嘘。落ち着いて格好よくなった君なら告白をOKしてたっていうのは嘘」
「・・・・・・まあそうだろうね」
「本当は君に告白されたとき、君と付き合えばよかったって後悔している」
「自棄になってるの?」
「違うよ。格好いいとか女の子にもてるとかそんなことはどうでもいいよ。今だって君は
真剣にあたしを見て向き合ってくれた」
何か勘違いしているんじゃないのか。僕は今だって自分の悩みで精一杯だ。
「あたしね。あのときのあたしを怒鳴りつけてビンタしたいほど、あのとき君を拒絶した
ことを後悔している」
自棄になっているとしか思えない。女さんの思いつめた表情を眺めながら僕はそう思っ
た。
「きっかけは兄友と明日香ちゃんのことかもしれないけどね」
女友さんは無理をしている。兄友の浮気で心が壊れているんだ。僕はそう思った。
「奈緒人君、あたしなんかにもう興味ない?」
「もうあいつらのどろどろした関係なんかどうでもいいじゃん。あたしと付き合って。あたしを見て」
「よしなって」
「君とならずっと仲良くやっていけそうな気がする」
「よせよ」
「・・・・・・もうあんなバカたちなんかどうでもいいじゃん。君はあたしのこと嫌い?」
女さんは僕の首に両手を回して僕にキスした。
心だけの浮気でも明日香を裏切ることには変わりない。奈緒、玲子叔母さんと続いて再
び間違いを犯すわけにはいかない。ましてキスなんて。
唇が触れた瞬間、僕は顔を背け女さんの手を振り払った。
そのときの女さんの傷付いた表情を見て僕は怯んだ。
「こんなにされても、まだ明日香ちゃんのこと許せるの?」
わからない。僕がこれほど動揺したのは明日香のことが好きだからだ。でも何もなかっ
たように明日香とこれまでどおりの関係でいられるのかは自信がない。
明日香の過去のことは飲み込むことができた。池山と付き合っていたことすらも。でも、
親友の兄友に抱かれた明日香のことを僕は許すことができるのか。
処女じゃなかったとかそういうことはどうでもよかった。たとえそれが池山のようなど
うしようもないやつであっても、自分と付き合っている彼氏を裏切って彼女のいる男に言
い寄って抱かれる。そんな明日香の貞操観念を見せ付けられたことの方がダメージは大き
かった。
女さんには悪いけど兄友への嫌悪感はそれほどでもない。あいつはこの間まで明日香が
僕の妹であることを知らなかったのだから、そのときには親友の妹を抱いているとは思わ
なかったのだろう。
「わからない」
「うん。そうだよね。ごめんね、変なことしちゃって」
「女さんはどうなの? 兄友のこと許せるの」
「・・・・・・あいつさ。池山君のことあたしにすごく誉めてたんだよね。みんなあいつのこと
服装とか髪型で誤解しているって。あいつは本当にいいやつだって」
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