277:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/27(木) 23:49:00.04 ID:dvLTtGrdo
明日香はメモを残していった。おばさんのところに泊まるということと夕食が用意して
あるという内容のメッセージを。彼女が僕に言いたいことがあるのならそこに記せばいい
だけのことなのに、古い携帯電話を残していったい僕に何を言いたかったのか。あるいは
ただ戯れに家のどこかで見つけた古い携帯電話を置き忘れただけなのか。
僕はためらったけど結局自分の携帯を取り上げて電源を入れた。明日香に連絡するかど
うか決める前に、とりあえずセンター問い合わせをすると受信メールがすごいことになっ
ていた。
ほとんどが玲子叔母さんからのメールだ。明日香からも奈緒からも、そして女さんから
のメールは一件もない。二十件ほどの叔母さんのメールに混じって知らないアドレスから
のメールが一件混じっていた。
叔母さんからのメールは開くのが恐かったし、その内容は半ば予想できていた。僕は時
間稼ぎのつもりでその知らないアドレスからのメールを開いた。
from :×××@docomo.ne.jp
sub :お久し振り
本文『お久し振り。奈緒人君が覚えていてくれているかわからないけど、私は結城唯で
す。あなたのお父さんの妹です』
『忘れちゃったかな? 一時期、ほんの一時期だけ君と奈緒ちゃんを私が面倒みてたこと
あるんだけど、覚えていないかな』
『君の両親、つまり私の兄と麻紀さんが長い離婚調停をしていた時期に、君と奈緒ちゃん
はあたしと兄の実家で育てられていたの。そのときに君たちの面倒を看ていたのがあたし
なの』
『事情があってあたしは兄の離婚以来兄友君たちとも会っていません。兄とは縁を切っ
たから。突然のメールで驚かせたとしたらごめん。ちょっと事情があって君と話をしたい
の。ある人から君には過去の記憶がないことを知りました。それから最近君が奈緒ちゃん
と再会したことも』
『君に話しておきたいことがある。できれば君に直接会って話をしたい。返信してくださ
い。念のために携帯の電話番号を記しておきます』
これも偶然なのだろうか。唯お姉ちゃんからもらった携帯電話を見つけたその夜に、そ
の贈り物をしてくれた当の本人からメールが来るなんて。
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