過去ログ - ビッチ・2
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328:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/25(木) 00:04:46.56 ID:BoHDN8LGo

「唯ちゃん、この事務所が何をしているのか知ってる?」

「さあ、わかんない」

 わかるわけがない。太田先生の新事務所とかさっき初めて聞かされたばかりだし、事務
所内に入っても受付に非常識なギャルっぽい女がいることはよくわかったけど。あれでは
まともな顧客は逃げ出すのではないか。

「聞きたい?」

 何かを期待しているように有希ちゃんがあたしの方を覗った。あたしはため息を押し殺
した。

「うん、聞きたいな」

「そうなんだ、唯ちゃん聞きたいのね」
 嬉しそうな表情で彼女が言った。「唯ちゃんにだけは教えてあげようかな」

「ほんと?」

 それほど興味があったわけじゃない。というか、関わりにならないほうがいいとあたし
の本能は警告していた。

「そうかあ。唯ちゃんも興味あるんだ。じゃあ、教えちゃおうかなあ」

「そんなに秘密のことをしているの」

「そうだよ。とっても秘密なお仕事。パパとあたし以外の人には秘密なの。でも、唯ちゃ
んになら教えてもいいな」
 有希ちゃんがにっこりと笑った。「でも条件があるの」

「・・・・・・条件って」

「教えてもいいけど、その代わり唯ちゃんもこの事務所の仕事を手伝って」

「・・・・・・はい?」

「あたしさ、一番愛しているのはパパで、次がナオで」

「ナオ?」

「それで三番目で悪いんだけど、あたしがナオの次に愛しているのは唯ちゃんだと思う
の」

 え?

 何を言っているんだこの子は。パパが好きならわかる。けど、実の親を愛しているって。
それにナオというのは誰なんだろう。そして、あたしを愛しているというのは何の冗談な
のか。

「唯ちゃんってさ。今だにあたしのこと、唯ちゃんと初めてあった頃の小さい女の子だと
思ってるでしょ」

 有希ちゃんが言った。まあ、そういうこともないではない。あたしにとって太田事務所
での日々はあっという間に過ぎ去ったという印象がある。だから未就学児の有希ちゃんの
印象は今だに強いと言ってもいい。実際にはもうすぐ高校生になる女の子なのだけど。

「あたしはもう大人なの。あたしさ、昔から唯ちゃんのことは好きだったんだ。唯ちゃん
は女の人相手にこんな感情を持つことっておかしいって思う?」

 有希ちゃんがソファから立ち上がって、あたしが座っている横に立った。身長差はあっ
たはずだけど、座っているあたしは有希ちゃんを見上げる形になった。有希ちゃんは両手
をそっとあたしの両頬に添えた。油断していたあたしの顔は、有希ちゃんの細く華奢な手
によって無理矢理上を向かされるような態勢にされた。

「ねえ。年上の女の人を抱きたいとか、無茶苦茶にしたいとか、可愛がってあげたいとか
って思うのっておかしいのかな」

 そのときのあたしは呆然としていて、有希ちゃんの無遠慮な両手にに抵抗することすら
思い浮ばなかった。


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