341:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/01(木) 00:07:43.77 ID:CfJ7xOZ2o
「問題はその後だよ。奴が死んで手口の方は警視庁がだいたい解明したのだが、肝心の金
の流れがわからない。帳簿上は売り上げに計上されているくせに実際には全く入金されて
いない。こんなのは会計監査ですぐに発覚するはずだが、監査前に破綻しちゃったからな。
その金はどこに行ったのかね」
「また別な関連会社に飛ばしちゃったんじゃないの? そういうのよくあるってパパが言
ってたよ」
「関連会社の入金からやつの自殺までそんなに間がねえんだよな。短時間でそんだけの仕
組みを動かすほどの協力者が社内にいなかったことは捜査で明らかになっている。つまり、
ほぼ単独犯だったってことだ」
「まだるっこしいなあ。あたし、大切な子を待たせてるんで、あんたにそんなに時間は割
けないの。何を言われても驚かないからさっさとあんたの取って置きのネタを言ってごら
ん」
「・・・・・・どこまで強気でいられるのかな。まあ、いい。最後の会計監査後に犯行は行われ
た。そして奴は自殺。その後に管財人が入った。そして犯行を管財人である太田さんの事
務所のスタッフが発見した。発見したスタッフはまず大田さんに報告したんだろうな。そ
こであんたのパパは考えた。今なら神島スポーツの全会計処理は自分の手に握っている。
前の営業部長の不正処理分の金をちょっとだけ抜いちまっても誰にもわからねえってな」
「そうなの」
「ずいぶん落ち着いているな。まあ、そうだ。警察への告訴までに時間が空いているから
な。要するに前営業部長が何とかしようとした二億数千万円は、今頃多分あんたの親父の
会社の口座の中だと思うぜ」
「ふーん」
「ぶっちゃけこの会社だってその金の受け皿のために作ったんだろうさ。時期が近すぎる
もんな」
「わかった」
「何?」
「採用してあげる。今からあんたはって、加山だっけ? あんたはこの会社の社長でいい
や。明日にでも警察を辞職してきてね」
「合格ってわけか?」
「そこまで理解できる頭があるなら十分でしょ。パパにもそう言われてるし」
「わかった。じゃあ、世話になるぜ。条件は前に太田さんに聞いた話のとおりだろうな」
「うん、それでいいよ」
「じゃあ、善は急げだ。あの忌々しい高卒の平井に辞表を叩きつけてくるとしようか」
「ちょっと待って」
「うん? まだ何かあるのか」
「・・・・・・明日香の具合ってどうなの」
「やっぱりおまえが襲わせたのか。報告受けてないのか」
「博之も飯田もあんたたちが拘束してるんでしょ?」
「そうだな。実行犯が抑えられちゃったんで何も聞けなかったのか」
「まあ、そういうこと」
「じゃあサービスで教えておいてやる。結城明日香は外傷は負ったけどそれほど酷くなか
った。現に今頃は退院しているはずだ。俺は上司から事情聴取をしろって言われているか
ら、本来なら明日にはやんなきゃいけないんだけど、今日辞表を出したらそれはチャラだ
な」
「ちょっとお願いがあるんだけど」
「何だよ」
「あんたが報告書を上司に出すまで辞職を待ってくれない?」
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