344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/01(木) 00:09:55.70 ID:CfJ7xOZ2o
有希と奈緒人との関わりや太田先生の犯罪行為を聞かされたあたしは完全に覚醒してい
た。年下の女の子の強引な愛撫によって流されている場合ではない。太田先生の件はとも
かく、奈緒人や明日香ちゃんに関係のあることが有希によって起こされているのならあた
しはそれを調べなければならない。奈緒人に対してできることはしなければいけない。
血中にアドレナリンが急激に分泌されているようだ。今のあたしは、今までの惰性で生
きていたあたしではない。どういうわけか判断も行動も瞬時に行える気がする。
あたしは開き気味のドアを一瞬で横切って出口を目指した。背後からはあたしを追って
くる気配はない。そのまま廊下を落ち着いて通り過ぎ、怪しげな受付嬢が二人座っている
ロビーまで辿り着いた。
二人は同時にあたしに気がついて立ち上がった。
「お邪魔しました」
あたしは軽く会釈してドアを開けて外に出ようとした。
「ちょっと待って。結城さん、だったよね」
このまま逃げ切れると思いだしていたあたしに女性の一人が声をかけた。
「はい」
一人が立ち上がってあたしと出口のドアの前に立ちはだかった。
「あなた、有希ちゃんに迫られたんでしょ? もう抱かれちゃったの」
にやにや笑うその女の顔には下卑た好奇心のような表情が浮かんでいた。
「それともびっくりして逃げ出してきたの? そうならここにいてもらわないと、あたし
たちが有希ちゃんに怒られちゃうしなあ」
突然、あたしは二人に身体を押さえられた。こいつらを甘く見ていた。この二人は思っ
ていたより手際がいい。あたしが自由になって外に脱出するためにもがいていると、お腹
に衝撃があった。痛みと吐き気が襲ってきた。
「有希ちゃんに気に入られてるからっていい気になるなよ。おとなしくしてろ」
「そうよ。あの女帝に可愛がられるのが何でそんなに嫌なのよ。あんたみたいな年増女が
女帝に相手にしてもらえるなんてラッキーだと思いなさいよ」
「あんた、こいつを抑えておいて。有希ちゃんが採用面接をしている間にこいつは逃げ出
したんだと思うから。今から有希ちゃんに連絡して」
「その必要はないよ」
有希がゆっくりと部屋の中に姿を現した。
「有希ちゃん、こいつ勝手に逃げ出そうとして」
「・・・・・・誰がそんなこと命令した?」
冷たい声で有希が言った。
「え?」「あたしたち、こいつに逃げられたら有希ちゃんが悲しむと思って」
「唯に手を出したね」
「あの」
「誰があたしの唯に手を出していいって言った? 唯から手を離しなよ」
あたしはこの二人から開放されたけど、痛みのせいで立っていられなくて、その場にう
ずくまった。有希があたしの背中を抱えるように撫でた。
「大丈夫? ごめんね唯。痛かったでしょ。ちょっとあたしの部屋で横になろう」
あたしは有希に抱えられるようにしながら、逃げてきた廊下を逆戻りして有希の部屋に
連れて行かれた。華奢で小柄な中学生とは思えないほどに、彼女の手には抗いがたい不思
議な力が込められていた。あたしは半ば引きずられるように再び有希の部屋い連れ込まれ
た。
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