354:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/27(火) 23:24:36.74 ID:UmNNo2dKo
・・・・・・あたしは有希の手によって再び有希の部屋のソファに横にされた。
「唯、大丈夫? どこか痛くない? 気持ち悪いの?」
あたしはさっき逃げ出したばかりの有希の部屋のソファに再び仰向けに横にされながら
黙って首を横に振った。
「無理しないで。すこしここで横になっていなさい」
「・・・・・・平気だから」
「ごめんね、唯。男の子たちに命令してあいつらには必ずお仕置きをさせるから。機嫌直
してね」
あたしはようやく我に帰った。ここで再び中学生の女の子の奇妙なカリスマ性に流され
ている場合ではない。子どもたちの安全がかかっているかもしれないのだ。あたしの人生
を捧げても惜しくなかった奈緒人と奈緒の安全が。
あたしは心配そうにあたしの髪を撫でていた有希の手を払いのけて、上半身を起こした。
「大丈夫よ。悪いけど、あたしもう帰るね」
「・・・・・・だめ」
「だめって」
「帰っちゃだめ。まだ・・・・・・あの途中だったじゃない」
「もういいよ。有希ちゃんがどんな子だったかわかったし。あたしは、これ以上もう有希
ちゃんと一緒にはいられない。わかるでしょ」
「どんな子って? あたしが女の子も愛せるってこと?」
あたしの言葉を鼻で笑うように有希が言った。まるで何をつまらないことを言っている
のとでも言うように。
「それもある。でもそれだけじゃない」
あたしの言葉を聞いて有希の余裕ぶった態度が少し崩れた。そして有希は何かに思い当
たったようだった。
「・・・・・・まさか。加山とあたしの話を聞いちゃったの」
「そうだよ。いろいろ先生のことがわかったよ」
「何で? 唯のこと身動きできないように裸にして縛ってたのに。何で勝手に盗み聞きす
るのよ。卑怯じゃない」
彼女はあたしのことを卑怯だと言った。あたしは再びあたしの髪の上でさっきまで愛撫
を繰り返していた有希の手を振り払った。さっき女帝と呼ばれていた有希に対して、年上
のあたしを裸にして弄んだ有希に対して、このときあたしはなぜか負ける気がしなかった。
あたしは唯を振り切って立ち上がった。やってみると簡単なことだった。カリスマとか何
を考えているかわからないことに対して、彼女はいろいろと恐れられているのだろうけれ
ど、思い切って押しのけてみれば、相手は単なる非力な中学生に過ぎなかったようだ。
あたしは有希を睨んだ。
「何よ。唯、何でそんな顔するの」
有希が怯んだような表情をした。こんな顔をした有希を見るのは初めてだった。女帝か
どうかは知らないけど、まだ幼い頃から有希は強気な性格以外の一面をあたしに見せたこ
とはなかったのに。
「まさかと思うけど、パパの弱みを掴んだつもり? それでそんなに強気なのね」
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