358:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/27(火) 23:39:23.53 ID:UmNNo2dKo
「いいよ。話し合おう」
有希がどういうわけか嬉しそうに言った。
「何で笑ってるの」
「今日はね。あたしに抱かれてひどいことをされた唯ちゃんがめそめそ泣いてさ。それで
も結局あたしの愛撫に負けて、あたしに依存してくる身体になるところまで躾けてやろう
と思ってたんだけど」
やはり彼女はあたしのことんなんか好きでも何でもなくて、玩具かペットのように考え
ていたようだ。
「でも、今の唯ちゃんの方がいいな。久し振りに本気で頭を使ってやりあえる相手に出会
えたよ。こんなに近くにライバルになれる子が昔からいたのに気がつかなかったよ」
「それならよかった」
あたしはなるべく平静を装って年上らしく言った。有希はそんなあたしをどういうわけ
か眩しそうに眺めていた。
「じゃあ、あたしから話すね」
先手必勝。あたしは自分から話を切り出すことにした。「あたしにとっては以前から今
に至るまで、何よりも大切なのは奈緒人と奈緒なの」
有希の表情が少し崩れたようだった。不意打ちを受けたのかもしれない。
こうしてあたしは知っていることを有希ちゃんに話し出した。全てではないけれど。
あたしは兄貴の大学時代のことから話を始めた。兄貴と麻紀さんとの出会い。結婚。出
産。そして麻紀さんと鈴木雄二氏との不倫。不倫を清算した麻紀さんと彼女を許した兄貴
が再び円満な家庭を再構築したこと。
そして運命の兄貴の海外出張。麻紀さんのネグレクトと失踪。それを原因とした兄貴と
麻紀さんの破局。その後の長い離婚調停。その際、麻紀さんの代理人を勤めたのが有希ち
ゃんのパパであったこと。
兄貴と理恵さんの再会。麻紀さんと鈴木雄二氏の仲にも再び火が着いたこと。
そして調停の場での和解。
「まあ、そんなところかな」
あたしは話し終えたけど、それまで口を挟んでこなかった有希ちゃんが疑わしそうにあ
たしを見た。今のところ有希ちゃんは別にそんなに驚いた様子を見せなかったけど、かと
いって全てに納得したわけでもないようだった。
「唯ちゃん何か隠してるでしょ」
あたしはいきなりそう指摘されて内心狼狽したけど、何とか表情に出さずにすんだ。こ
れは駆け引きなのだ。気を抜いてはいけない。
「隠してなんかいないよ。いったい何のこと?」
「何か大切なことを話していないよね? 唯ちゃんは」
有希の指摘は正しかった。確かにあたしは有希に説明するうえで、大事なことを意識し
て省略していた。
459Res/688.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。