382:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 22:41:34.10 ID:mxiU2Byio
脱法ドラッグは常に法的な規制と追いかけっこをしている。厚生労働省がある化学物質
を違法薬物に指定するとその化学物質を成分に含有している製品は違法なものとなる。脱
法ドラッグによる被害が各地で生じメディアによって報道されるようになると、違法薬物
の指定は頻繁になっていった。
ぎりぎりでも合法の仮面を被っていくためには違法になった瞬間にそのドラッグの取り
扱いをやめなければならない。といってもそもそもハーブには信頼できる原材料表示なん
かないため、どれが違法の商品となったのかを特定することは有希にもグループのメン
バーにとっても無理な相談だった。
それを引き受けていたのがSPIDERのマスター、渡だった。彼は池山の工業高校のOBで
彼自身も高校時代は池山同様にかなり悪ぶっていたらしい。ただ、同じようにバカをやっ
ていた連中と異なり彼は成績が良かった。渡はまともな受験指導もないその高校から現役
で薬学部に入学したのだけど、それは高校創立以来初めてのことだったらしい。
六年間の薬学部への在籍中、彼は真面目に勉強したらしいのだけど、卒業時にまたその
変人振りを発揮して、就職活動すらせずに小さなバーを初めた。それがSPIDERだった。
有希は渡に対しては配下の連中に対するのとは異なり、いつだってていねいに下手に出
るようにしていた。彼からはある意味パパと同じような香りを嗅ぎつけていたのだ。単な
る悪ではなく、真っ当な側でも立派に通用する能力と人柄を備え異常と正常のボーダーで
どちらにも顔が利く立場をスマートに維持している。下手に出たというか、有希は自分の
無垢で純真な外見を渡に対してはフルに活用した。もちろん、有希が女帝でありどんな商
売をしているのか渡は知っていたから、有希のそんな演技なんか通用するわけがなかった。
それでも有希にはわかっていた。
この人はロリコンなのだ。しかも、明日香やその他のグループに近いケバい格好の女の
子たちには全く関心がないみたいだ。女子大生以上の年齢の女に対してもそうだ。彼女た
ちには彼はいつも無愛想な態度を取っている。むしろ、池山や飯田のような高校の後輩と
話しているときの方が楽しそうだった。だから彼は女の子たちからは密かにホモ呼ばわり
されていた。
でも有希にはわかっていた。渡はパパとそういう面でも同じ種類の人間だ。有希が富士
峰のセーラー服でSPIDERを訪れると、渡は不機嫌そうに文句を言う。そんな格好でバーを
うろうろされたら迷惑だと。でも渡の視線はいつも嘗め回すように有希のせーラー服に身
を包んだまだ大人になりきっていない身体を、まるで渇望しているかのように眺めるのだ。
有希は結構最初の頃から技術面でのアドバイスを渡に聞き、渡もそれに答えた。薬学部
での成績が上位だったという渡は、当然ながら化学物質や薬物について詳しかった。それ
から有希はどれが違法商品になるのかの判定を彼に頼むようになった。渡は文句を言いな
がらそれに応えてくれた。いわばビッチの技術顧問になったのだった。有希は会えて彼に
は金銭的な報酬をわたさなかった。それをしたら渡が気を悪くすると考えたからだ。その
代わりに有希は渡のことをいつも特別に扱うことにした。池山や飯田よりも彼のことを優
先した。店内にいるときは常に渡との会話を優先し、彼に頻繁にちょっとしたプレゼント
(高価なものではなかった)を買い彼に渡した。そして常に私立の女子校の中学生らしい
無垢な笑顔を彼に向けた。
それだけの報酬で渡は満足していたようだった。
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