39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/26(火) 00:08:59.28 ID:R3OcIW1Do
「・・・・・・奈緒だって怜菜の自己満足な恋愛の犠牲者なのよ。あたしはこの先はずっと奈緒
を可愛がって育てて行くわ。怜菜なんかに奈緒の人生を狂わせたりさせるつもりはない。
あの子にはあたしの大切な娘として幸せでまっとうな人生を歩ませるつもり」
ようやく博人は言うべき言葉を探し当てた。
「何を言っているのかわからないけど、それはもう君の役目じゃない。奈緒人と奈緒は僕
が引き取って育てる」
「博人君じゃ駄目なんだってば。それに奈緒人と奈緒は一緒にいさせるわけにはいかない
の」
「奈緒人が奈緒を庇って君を拒否したから、君は奈緒人を捨てて奈緒だけを引き取ろうと
言うのか」
「そんなわけないでしょ。お願いだから理解して。奈緒人は博人君と同じくらいあたしに
とって大切なの。でも奈緒人と奈緒が一緒に暮らすのはだめ。それにあたしが奈緒人を引
き取ってあなたと奈緒が一緒に暮らすのもだめなの。もうあたしが奈緒を引き取ってあな
たが奈緒人を育てるしか道はないのよ。だから調停の申し立て内容を変更したの」
「なんでそうなるんだ。理由を言えよ。君のしたことは確かに正直に言ったのかもしれな
いけど、どういう理由でそんなことをしでかしたのか、その明確な説明がないじゃんか」
「本当にこれだけ聞いてもわからないの? 何であたしが太田先生に嘘を言ってあんなひ
どい内容の受任通知書を書いてもらったか。何であたしが博人君を愛しているのに、雄二
さんに言い寄って再婚しようとしたか」
「・・・・・・ああ、わからない。ちゃんと説明しろよ。もっとも何を聞いたとしても二人の親
権と監護権は渡すつもりはないけど」
「あたし、奈緒人と奈緒にはひどいことをしたよね」
「そのとおりだよ。君は奈緒人と奈緒が一生忘れられないくらいの心の傷を与えた。僕が
マンションに残したメモを見たか」
「うん」
「あれが全てだ。怜菜さんとか鈴木のことなんかもうどうでもいい。どんな理由や言い訳
を聞いたって僕が君を決して許さないのは、君が子どもたちを虐待したからだって何で気
がつかないんだ。それともわかっていてわざと知らない振りでもしているのか」
「博人君の方こそ逃げないで考えて。怜菜が何で雄二さんと結婚したか。怜菜が何で雄二
さんにあたしと接触するよう唆したのか。何で怜菜はあたしと雄二さんの浮気を責めずに
黙って離婚した挙句、あたなに会って愛の告白みたいなことをしたのか」
「僕は逃げてなんかいないし、自分の考えに言い訳もしていないよ。怜菜さんは僕を愛し
ていたかもしれない。僕は確かに怜菜さんに惹かれていた。でも彼女は亡くなったんだ」
「怜菜の死が不幸な偶然だと信じ込んでいるのね」
「その根拠のない思い込みはもうよせ・・・・・・なあ、本当にそう思っているのだとしたら君
は病院できちっと治療を受けたほうがいいよ」
それは付き合い出して以来始めて博人がした失言かもしれなかった。麻季はそれを聞い
て顔を上げた。
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