418:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/06(金) 00:05:03.77 ID:QOiwJppgo
「電話してよかった。やっぱり間違っていなかったっていきなり思い知らされたよ」
麻紀が何を言いたいのかさっぱりわからない。
「何だって。いったい君はさっきから何を言っている。何のために電話してきた」
「・・・・・・すべきことの前にあなたの声を聞きたかったから。これまで本当にごめんね」
「すべきことって。何を言ってるのかわからないよ」
「博人君。今でもあなたのことが好きよ。この世界で一番好き」
「何言ってるんだ。言う相手が違うだろ。それとも鈴木先輩と何かあったのか」
「最初から今まであの人とは何もないよ。本当に何もね」
「・・・・・・本当に奈緒に何かあったんじゃないだろうな」
「奈緒と奈緒人は絶対にお付き合いさせないの。あなたも賛成してくれるわよね」
「ちょっと待って。奈緒人と奈緒は顔を会わせてさえいないだろ。僕は奈緒に面会してい
るときも奈緒人のことだけは何も話さないようにしているんだぞ」
「博人さんは子育てに向いてないのね。あなたの可愛い妹さんが用意した携帯電話のこと
すら知らないでしょ」
「妹? 唯のことか」
「久し振りにお話できてよかった。勇気を出してあなたに電話して本当によかったと思う
わ。もっとお話していたいけど、そろそろ奈緒がピアノ室から出てくるから。じゃあまたね」
「おい! ちょっと待って。切るなよ」
僕はすぐに携帯電話を取り出した。未練がましいようだけど麻紀の番号はまだメモリー
に残っている。機種変を繰返すたびに、その番号は新しい携帯に受け継がれていたのだ。
僕は携帯で麻紀を呼び出したけど、結局何コールしても麻紀はそれに応えることはなか
った。
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