過去ログ - ビッチ・2
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/26(火) 00:25:11.30 ID:R3OcIW1Do

 理恵の両親と玲子ちゃんは奈緒が奈緒人の本当の妹であり、僕と麻季の実の娘だと思っ
ていたからその反応は無理もないのかもしれない。

 僕と理恵の再婚に唯とともにこれまで一番味方になってくれていた玲子ちゃんは、両親
のように僕を責めはしなかったけど、一時期のように僕を慕ってはくれなくなったようだ。
内心では彼女も僕の決断を嫌悪していたのかもしれなかった。

「本当にそれでいいの? 後悔しない?」

 理恵だけは冷静に僕に聞いた。

「・・・・・・後悔すると思う。でも、今はこうするしかないと思っている」

 僕の答えに、理恵は紅潮した顔で何かを言おうとして寸前で留まったみたいだった。

「あたしは博人君が麻季ちゃんに何でそんなに気を遣うのかわからないけど」

「・・・・・・うん」

「でも。まあ、あたしだけは仕方ないから君の味方になるよ。君がそれでいいなら再婚し
よう。奈緒人君と明日香とあたしたちで新しい家族を作ろう」

 理恵がどうして周囲と異なり僕の非常識な決断に理解を示してくれたのかはわからない。
でも、こうして麻季の複雑な心理を最後に読みほぐし、結果として麻季の考えに従うこと
を選んでしまった僕には理恵以外には味方がいなくなった。自分の息子の奈緒人をも含め
て。

 僕はその決定を人任せにはできず、自ら奈緒人に話をした。彼ももう小学生だったので、
たとえ今は誤魔化していても、いずれは妹がいなくなったときに納得するはずがなかった
から。

 彼が奈緒と別れて僕と理恵と明日香と暮らすことになると知ったとき、奈緒人は黙って
僕の話を聞いていた。そのときは奈緒人は青い顔で黙ったまま反発も非難も泣くことすら
しなかった。

 翌日、僕が出社時間に間に合うように起き出して子どもたちの様子を覗おうと部屋の扉
を開けると、そこには子どもたちの姿がなかった。

 奈緒人と奈緒は二人きりで僕の実家から脱走したのだった。


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