53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/27(水) 00:33:07.95 ID:rVw+N0iYo
「そういえばさ」
ケーキセットみたいなものがテーブルに運ばれてからあたしはおもむろに明日香に言っ
た。
「何?」
「あたしの友だちが今日江の島に遊びに行っててさ。風景写真とか送ってくれたんだけ
ど」
「ふ〜ん」
興味なさそうに目の前のケーキを小さなフォークで弄りながら明日香が答えた。「こん
な雪の日に湘南かあ」
「ねえ、聞いて聞いて」
あたしは声を大きくして明日香に話しかけた。いかにも陽気そうに。
「すごい偶然なんだよ。明日香と仲直りしたらこの写真をあんたに見せたかったんだ」
「何よ」
「じゃーん」
あたしはスマホの全画面に奈緒人さんと玲子、つまり明日香の叔母さんが抱きあっても
つれあうように歩いている写真を明日香に見せた。
「奈緒人さんって今日は学校休んで江の島に行ってるんだね。一緒にいる人って明日香に
似てるけどご親戚の方?」
少しして明日香が答えた。期待していたようなショックを受けている様子がないことに、
あたしは少しだけがっかりした。
「玲子叔母さん。あたしの母方の叔母。ママの妹だよ」
明日香は淡々とあたしに説明した。特別にショックを受けている様子はない。
「ああ、だから奈緒人さんとこんなに親しそうなんだ。正直に言うとあたし最初はびっく
りして少しだけ嫉妬しちゃったの。この女の人綺麗だし、ひょっとして奈緒人さんの年上
の彼女なんじゃないかって」
「・・・・・・それを聞きたくて校門の前であたしを待っていたの?」
「え? 違うって。冗談だよ冗談。あたしは明日香と仲直りしたかっただけよ。奈緒人さ
んは明日香の気持ちに応えたんでしょ? いくらあたしだって奈緒人さんがこんなに年上
の女の人と付き合うなんて思うわけないじゃん。十歳以上年が離れてそうだし。まあ、確
かに年上の親戚の女の人の肩を抱き寄せるなんて、奈緒人さんらしいとは思ったけどね」
「・・・・・・玲子叔母さんと兄貴は昔から仲良しだったから」
せっかく寒い思いまでして明日香を悩ませようとしたのに、どういうわけか彼女はこの
写真に対してあまり動揺していない様子だった。これではわざわざ明日香と仲直りまでし
た意味がない。でもそのとき再びあたしのスマホが再びメールを着信した。
「ちょっとごめん」
あたしはスマホを操作してメールを表示した。ユウトからだ。添付の画像を開くと、い
きなり男女の熱烈なキスシーンの写真が表示された。
あたしは明日香に対してスマホを隠すような素振りをして見せた。
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