68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 23:59:39.78 ID:fkWSD4Owo
「先週の土曜日はごめんね。ピアノ教室まで迎えに来てくれたんでしょ」
「うん。インフルエンザだたって? もう大丈夫なの」
「うん、もう平気。ほんとにごめん。無駄に迎えに来てもらちゃって」
「いいよ、そんなの。病気なのにいちいち迎えに来なくていいとか連絡なんてできるわけ
ないじゃん」
「だって・・・・・・」
そう言って口ごもる奈緒の容姿ははやはり可愛らしかった。自分の妹の容姿をちらちら
と盗み見る兄ってどうなんだろう。今は僕は明日香の彼氏として誰にも恥じることのない
行動を取るべきなのに。
「あたしのこと心配だった?」
突然、奈緒が微笑んで悪戯っぽく聞いた。
「・・・・・・心配したよ。あたりまえだろ」
実の妹なんだからと言おうとしたけど、その言葉は胸に秘めておいた。
「心配させちゃってごめんね。でも奈緒人さん・・・・・・じゃなかった、お兄ちゃんがあたし
のことを心配してくれるなんて嬉しい」
「僕のこと、そんなに薄情な兄だと思ってたの」
一々、兄とか妹とか口にする僕の感覚が異常なんだ。僕はそう思った。それに僕には今
でも昨晩の明日香の表情が胸の中に残っている。未だに誰が撮影したのか謎だけど叔母さ
んと僕のキスしている画像を削除して、僕に抱きついてきた明日香の表情が。あのとき彼
女は言った。もう迷わないし不安に思わないって。
僕ももう迷わないと決めたのだ。こんなにふらふらしている僕だけど、昨日抱きついて
くる明日香を抱いたことへの責任は取らなきゃいけない。それに今では僕の心の中には、
今朝、恥かしそうな表情でおはようお兄ちゃんと言って僕を起こしてくれた明日香に対す
る愛情がこれまでにないくらいに満ち溢れていた。
叔母さんとは今までどおりいい叔母と甥の関係に戻る。奈緒とはいい兄妹の関係になる。
それでいいじゃないか。僕には明日香がいるのだかから。
改めて考えると、僕のために自己犠牲を厭わずに尽くしてくれていたのは明日香なのだ。
彼氏と別れたり自分の仲間と縁を切って、僕の好みの容姿になってくれたり。そして、そ
れ以上に本当に僕がつらかったときに僕を抱きしめて慰めてくれたのは明日香だけだった。
もういいじゃないか。この先奈緒のことを考え悩んだりフラッシュバックを起こしたと
しても、きっと僕の恋人の明日香が僕を支えてくれるだろう。そのことに僕は今では何の
疑い抱いていなかった。
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