過去ログ - ビッチ・2
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74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/04(月) 00:15:55.97 ID:fb47vGvAo

 僕は泣きそうな顔をしている明日香を思わず抱き寄せた。

「あ・・・・・・」

 抱き寄せた明日香の体が震えた。

「僕とおまえは一生一緒だよ」

「だって」

「おまえが嫌だといっても僕は明日香を離さない。たとえおまえが迷惑に思っていたとし
ても僕はおまえから離れないよ」

「迷惑なんて思うわけないじゃん。でも、あたしずっとお兄ちゃんにひどい態度を取って
きたのに」

「僕が一番つらかったとき、僕を支えてくれたのはおまえだから。奈緒とのことで僕は傷
付きそうなことを理解して、彼氏と別れてまで僕のことを守ろうとしてくれた」

「・・・・・・お兄ちゃん」

「好きだよ明日香。今にして思えば多分、前みたいにケバイ格好をして僕のことを虐めて
いた頃から、僕はおまえのこと好きだったのかもしれないね」

「・・・・・・うん」

 明日香は泣きながら僕の胸に顔をこすり付けた。

「父さんたちは大丈夫。でも万一、父さんたちが離婚したとしても僕と明日香はずっと恋
人同士だよ」

「・・・・・・うん」

「大学を卒業してさ、将来就職できたら僕と結婚してくれないか」

 明日香が泣き止んで僕の胸から顔を上げた。

 一瞬だけ時間が止まった。

「喜んで。この先もずっと一緒にお兄ちゃんといられるのね」

 しばらくして母さんが階下から声をかけた。夕食の時間だった。

 家族四人で食卓を囲むのは久し振りだったけど、いつものような自然な雰囲気は望むべ
くもなかった。

 それでも明日香は僕のプロポーズの余韻が残っていたのか、やたらに僕を構いたがった。
皿に料理を取ってくれるとか、飲み干したコップに冷水を注いでくれるとか。

 父さんと母さんはお互いに気まずい表情だったけど、僕たちを意識しているのかなるべ
く普通に会話しようと努力しているようだった。

「お兄ちゃん」

「何」

「口に玉子の黄身が付いてるよ」

 明日香がテーブルの上のティッシュを取って僕の口を拭った。

 母さんが嬉しそうに微笑んだ。

「明日香はお兄ちゃんのことが大好きなのね」

「うん。そうだよ」

 明日香は以前とは違って真顔で母さんに答えた。

「うふふ。奈緒人君はどうなの? 明日香のこと好き?」

 母さんが僕たちが結ばれることを望んでいることは明日香からも叔母さんからも聞いて
はいたけど、ここまで露骨に聞かれるのは初めてだった。僕は赤くなった。

「うん」

 僕は母さんではなく明日香を見てそう言った。

 そのとき、母さんの嬉しそうな微笑みとは真逆なような父さんの暗い表情に僕は気がつ
いた。


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