過去ログ - ビッチ・2
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83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/06(水) 22:56:52.81 ID:/geWKqfJo

 夕食後、明日香と一緒に二階に上がった僕は、明日の土曜日に奈緒をピアノ教室に迎え
に行ってもいいか聞いた。彼女が嫌がるようなら、奈緒と約束してしまったので明日だけ
は許してもらってそれでもうお迎えは終わりにしようと思ったのだ。きっと嫌がるだろう
なと僕は思っていた。だから明日香が迎えに行くだけならいいよってあっさっりと言った
ときは少し驚いた。

「僕と奈緒と会うの嫌なんじゃないの?」

 僕は明日香の部屋で彼女の隣に座って聞いた。明日香はカーペットの上にぺたんと座り
込んで隣にいる僕の顔を見上げた。

「喜んで行ってらっしゃいと言えるほど心が広い女じゃないんだけどさ」

 明日香は笑った。「でもまあ、お兄ちゃんにはプロポーズされたばっかだし、こんなと
きまで嫉妬してお兄ちゃんを信じられないなんて、あたしの方が嫌だもん」

「無理してない?」

「してない。お兄ちゃんを信じてるよ。でもこれからは奈緒ちゃんを送ったらなるべく早
く帰ってきてね」

「うん。わかってる」

 僕だってそのつもりだった。奈緒からは話があるとは言われていたのだけれど、一緒に
昼食をとることは断ったのだし、食事抜きで何時間も話をしているわけではないだろう。
それにいくら兄妹とはいえ、今では僕の婚約者である明日香を放って毎週奈緒を迎えに行
くわけにもいかない。奈緒の機嫌次第だけど、一応もう迎えにはいけないと言ってみよう。

「明日はなるべく早く明日香のところに戻ってくるよ」

 それを聞いて明日香が黙って僕に身体を預けたので、僕は明日香の肩を抱いた。華奢な
感触が手に伝わった。そういうこと考えるべきじゃなかったけど、その感触は奈緒を抱き
寄せたときや玲子叔母さんと抱き合ったときの記憶を思い起こさせた。僕は少し狼狽して
明日香の顔を覗ったけど、明日香はもう別なことを考え始めていたようだった。

「ねえ・・・・・・」

 明日香が素直に僕に抱き寄せられながら言った。

「うん」

 僕は自分の思いを悟られなかったことにほっとした。そして少し罪の意識を感じて、そ
れを誤魔化すために明日香の肩を抱く手に力を込めた。

「ちょっと強く抱きしめすぎだよ。変な気持になっちゃうじゃん」

「だめ?」

「今日は下にママたちがいるんだよ」
 明日香が笑って僕をたしなめた。「だからお兄ちゃんも我慢して。そうじゃなくて、や
っぱり夕食のときのパパとママの様子って変だったよね」


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