過去ログ - ビッチ・2
1- 20
88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/06(水) 22:59:48.46 ID:/geWKqfJo

 平井さんから話を聞いた後、玲子叔母さんはやるならあたしも手伝うようと言った。そ
のとき僕は叔母さんの身の安全を危惧したのだけど、結局僕の恐れていたとおりになって
しまったようだ。僕が手をこまねいて、恋愛もどきの悩みにうつつを抜かしている間に、
叔母さんが犠牲になったのだ。

 僕のせいだ。

 明日香のスマホを元通りに置いて部屋に戻ったとき、明日香がラフな姿でバスタオルで
髪を拭きながら僕の部屋に入ってきた。

 僕はぎりぎりのところで明日香が部屋に入ってくる前にブラウザの画面を切り替えるこ
とに間に合った。

「お風呂のついでにリビングの様子を覗ってきたんだけど」

「う、うん」

「二人とも声を低くして話をしてたんでよく聞き取れなかったんだけど、レイナさんって
いう人のことを二人で話しているみたい」

「そうか」

 僕の脳の容量はもうこれ以上の情報に耐えられそうもない。奈緒と会うことへの母さん
やマキさんの反対のことも気になるけど、玲子叔母さんの事件だって全く何も解決してい
ない。僕のおかげでもう忘れられたよと叔母さんは言ってくれたけど、客観的にはこれで
終わりかどうかもわからなかった。再び叔母さんが襲われることはないとも言い切れない
のだし。

 とりあえず明日は奈緒の話を聞こう。そして僕と奈緒の母親であるマキさんの意図を探
ってみよう。奈緒ならばレイナさんという人のことも知っているかもしれない。それから
明日香の言い付けどおり叔母さんの家に行き、叔母さんの方の問題を考えてみよう。もっ
とも叔母さんが悪い夢を見たと思って忘れようとしているのなら、その話を叔母さんとす
るのは酷というものだ。でもそのときは平井さんを頼ればいいのだ。

 僕はそう考えた。今はもうこれ以上は何も思い浮ばなかった。

「明日、奈緒に聞いてみるよ。今はもう考えても仕方ないだろ」

 僕は明日香にそう言った。明日香は僕のベッドに腰かけていたけど、すぐに納得したよ
うにうなずいた。

「そうだね。あたしも明日は叔母さんにレイナさんのこととかマキさんのこととか聞いて
みるよ」

「まあ、直接父さんたちに問い質すという手もあることはあるけどな」

「それはよそうよ」
 明日香は少し不安げな表情をした。「何かこわい。それで万一離婚するとか言われたら
嫌じゃない」

「そんなことはないと思うけどな」

 僕はPCの電源を落として明日香の隣に座った。

「今日はここで一緒に寝てもいい?」

 明日香が上目遣いで言った。

「だって、おまえが今日は我慢しろと言ったんじゃん。下に母さんたちがいるからって」

「一緒に寝るだけなら別に平気でしょ? ママたちは普段は二階になんか来ないんだから。
それに一緒に寝るだけなのに何を期待してたのよ」

「わざと言ったろ?」

 ふふっていう感じの微笑をわずかに顔に浮べた明日香が僕をベッドから立ちあげるよう
にした。

「早くお風呂に入ってきて。あまり遅いとあたし先に寝ちゃうからね」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
459Res/688.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice