過去ログ - ビッチ・2
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95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/10(日) 00:35:46.25 ID:1rpRl+2Eo

 奈緒は僕が座っている席を見つけると、微笑みの欠片すら浮べずにむすっとした顔で黙
って向かいの席に座った。あの眼鏡の男と一緒だったらどうしようと思ったのだけど、奈
緒はどこかで彼とは別れてきたみたいだった。

「奈緒人さんって煙草吸うの」

 相変わらず不機嫌そうな声で奈緒が言った。

 煙草って何だ? というか奈緒人さんって・・・・・・。

「何言ってるの?」

「ここ煙いよ。何で喫煙席なんかにいるのよ」

「あ・・・・・・悪い。禁煙席が三十分待ちだって言われたから」

「あたし煙草って大嫌い・・・・・・。それくらい気を遣ってくれるかと思ったのに。それで何
か頼んだの?」

 奈緒は相変わらず醒めた冷たい表情のままそう言った。

「ドリンクバーだけ先に頼んだ」

「・・・・・・お腹空いてるのに。あ、あたしもドリングバーをお願いします」

 不機嫌な感情を全開にした奈緒が席を立って飲み物を取りに行った。このとき僕は切実
にこの場から消え去りたかった。こんなことなら明日香と二人きりで過ごしていた方がよ
かった。明日香だってその方が喜んでくれただろうし。

 うまく行けばマキさんのメールの内容とかその背景とかを奈緒に聞き出そうと思ってい
たのだけど、彼女の様子はそういう感じじゃない。自分に非があるなら責められても仕方
ないのだけど、どう考えても僕に彼女ができたことが実の妹にこれほど責められることと
は思えない。

 奈緒が飲み物の入ったコップを持って席に座りなおした。しばらく沈黙が続いた。

 奈緒がドリンクなんてどうでもいいというようにテーブルに置いて僕の方を見た。

「何でそんなに居心地が悪そうなの? あたしと一緒にいるのがそんなにいやなの?」

「そんなことないよ」

 僕は奈緒に嘘を言った。以前の奈緒ならともかくこれだけ敵対心を丸出しにしている彼
女と一緒にいることはいやだった。早く明日香に会いたい。とにかく明日香なら僕を安心
させてくれる。今の奈緒が僕に強いているように落ち着かない感覚を思いをさせるなんて
あり得ない。

「適当なことを言わないで」

「嘘じゃないよ・・・・・・」

「有希ちゃんの言っていたとおりだった。奈緒人さんって不誠実だよね」

 僕が実の妹に対する恋心を諦めて、明日香を彼女にしたことはそんなにひどいことなの
か。僕の方もだんだんとイライラしてきた。

「あのさ、ファミレスに来る必要なんてなかったんじゃないの。奈緒ちゃんを教室から家
まで送っていくだけなら」

 そこまで言うつもりはなかったけど、奈緒のひどい態度に心を傷つけられていた僕は思
わずそう言ってしまった。


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