96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/10(日) 00:39:02.88 ID:1rpRl+2Eo
「何であたしのことを奈緒ちゃんって言うのよ。昨日は奈緒とかおまえとか偉そうに呼ん
でたくせに」
「それは・・・・・・そう呼ぶなって言ったから」
「嘘つき」
え? 今、奈緒は何て言った?
「お兄ちゃんの嘘つき」
奈緒は僕を睨みながら再びそう言った。いつの間にか再び奈緒人さんではなくてお兄ち
ゃんと呼びかけられていることに、僕はしばらく気が付かなかった。
「約束したのに。パパもママもいらないって・・・・・・奈緒と二人でずっと一緒に生きるんだ。
それでいいよな? ってあのときお兄ちゃんは言ったのに」
「・・・・・・そうだよ」
そのことは玲子叔母さんの話を聞いてから常に心の中で思い起こしていたことだった。
奈緒と引き離されたときの胸を引き裂かれたような痛みとともに。
「そうだよじゃない! あたしと二人でずっと一緒にいる気なんて今のお兄ちゃんにはな
いじゃない。お兄ちゃんはずっと明日香ちゃんと一緒にいる気しかないじゃない」
奈緒が泣き出した。
追い詰められた僕はついに今までは言わないでおこうとした言葉を口にしてしまった。
「あのときの気持には嘘はないよ。でも、おまえは僕の妹じゃん。何よりも大切な妹だけ
ど、それでもおまえは僕の彼女にはなれないだろそれに奈緒だってさっき眼鏡をかけた先
輩と仲良くしてたじゃんか。僕のことなんて無視して」
思わず嫉妬交じりの言葉を口にしてしまった。
「あんなの・・・・・・。お兄ちゃんに嫉妬させようと思ってしたことに決まってるでしょ。そ
んなことはお兄ちゃんだってわかってたんじゃないの」
迎えに来た僕を放っておいて他の男の言葉に笑顔で応えていた奈緒に対して、僕は嫉妬
を覚えたのだった。それは確かな事実だったけど、本気であいつと奈緒の仲に嫉妬したか
というとそれは疑わしい。それはきっと奈緒の嫌がらせだろうと僕は内心ではそう考えて
いたのだ。そしてその想いは僕の顔に出てしまっていたみたいだった。
「わかってたみたいね。それなら答えてよ。ずっとあたしと二人で生きるって言ってくれ
たんでしょ? 何でそこに明日香ちゃんが割り込んでくるの?」
「奈緒は僕の妹だし明日香は僕の彼女だから。二人とも僕にとって大事な女の子だよ」
僕は精一杯心を込めて今の僕の内心を吐露したのだけど、奈緒の表情には納得した様子
は覗えなかった。
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