97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/10(日) 00:42:24.87 ID:1rpRl+2Eo
「お兄ちゃん・・・・・・。あたしがお兄ちゃんと別れてから今までどんな気持で生きてきたの
か知らないでしょ」
「それは正直に言えば知らない。でもおまえだって僕のことなんかちゃんとは理解してい
ないだろ」
「少なくともお兄ちゃんはこれまでのあたしよりは全然幸せに暮らして来たんでしょ。そ
れにお兄ちゃんにはあまり過去の記憶がない。全部覚えているのに、そのうえ余計な話を
ママに教えられて今まで暮らしてきたあたしの気持を少しは考えてよ。ずっとお兄ちゃん
のことを想い続けてきたあたしの気持なんかお兄ちゃんは理解していないでしょ」
奈緒は何を言っているんだ・・・・・・。幸せにって、それは僕と奈緒の父親のことだろうけ
ど、少なくとも奈緒は本当の母親とは一緒に暮らしてきたわけで、そういう意味では僕と
奈緒はイーブンの関係じゃないか。
「今日は話があるって言ったでしょ」
「あ、うん。明日香を待たせているんであまり遅くはなれないけど」
「そんなこと知らない。遅くなっても付き合って」
奈緒が冷淡な表情で僕の答えを切り捨てた。「全部話すよ。あたしの話を。だからお兄
ちゃんももう逃げないで一緒に考えて」
奈緒が恐い顔でそう言った。
「何を言ってるのかわかんないよ。それにそんなに時間はないんだ。僕は早く明日香のと
ころに」
「そんなに明日香ちゃんといつも一緒にいなきゃいけないの? 今までずっと明日香ちゃ
んとは一緒に暮らしてきたじゃない。ようやく会えたあたしよりもいつも一緒の明日香ち
ゃんと少しでも一緒にいたいくらいにあの子のことが好きなの?」
「・・・・・・何言ってるの」
「お兄ちゃんの嘘つき」
「嘘じゃないって。でも一緒にいるっていろんな形があるだろう。奈緒と僕は兄妹として
ずっと一緒にいようって・・・・・・」
「誤魔化さないで。お兄ちゃんの一番大切な女の子は明日香ちゃんなんでしょ」
いい加減にしろ。僕は本気で思った。人が一生懸命に考えないでいようと思って、よう
やく決心したことを今さら蒸し返すなんて。たとえ僕と奈緒がその気になったとしてもど
ういしようもないことはこの世の中にはあるのだ。僕はもう自分を抑えられなかった。
「じゃあ聞くけどさ」
僕はこのとき泣きたい気持だったのだけど、外見はさぞかし冷たい笑いを浮かべている
ように見えたに違いない。
「じゃあ聞くけど。奈緒、おまえは僕の彼女になってくれるのか? 僕とエッチしてくれ
るのか。ずっと一緒にいるのはいいけど、僕の奥さんになって僕の子どもを産んでくれる
のか。実の妹のおまえには全部できないだろう。明日香とは違ってさ」
僕は口にした途端にそのことを後悔した。奈緒にそういう思いをさせたくなくて彼女を
冷たく振ったというのに。そして奈緒と僕の関係は今では実の兄妹とだということに奈緒
だって納得しているのだ。今さらそれを蒸し返してどうする。
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