過去ログ - ビッチ・2
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99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/10(日) 00:46:43.38 ID:1rpRl+2Eo

「あのとき、おまえはそう言ってたよな」

「うん」

「あのときのおまえは僕が兄貴だって知って喜んでいたじゃんか」
 僕はこのときは混乱していたので考えなしに喋ってしまっていたかもしれない。「無理
矢理引き離された兄貴の僕と再会できて嬉しかったんだよな? そのせいで自分の彼氏と
付き合えなくなるってわかっていても」

「うん」

 躊躇することなく奈緒は返事をした。

「嬉しかったに決まっているでしょ。昔から夢にまで出てきたお兄ちゃんと、もう一生会
えないかもって諦めていたお兄ちゃんと再会できたんだから」

「・・・・・・じゃあ」

「でも、それとこれは違うよ。お兄ちゃんと会えたことは確かに嬉しかった。でもあの後
お兄ちゃんと別れて学校で考えたら、ついこの間まであんなにラブラブだった彼氏が消え
てしまうんだって気がついたの。これだって失恋でしょ? あたしはあの日、あんなに会
いたかったお兄ちゃんに再会したんだけど、同時にあんなに好きだった奈緒人さんに失恋
したんだよ」

 奈緒はもう微笑んでいなかった。綺麗な目に大粒の涙が浮かんでいた。

「おかしいでしょ? 嬉しくて仕方がないのに悲しいんだよ。こんなことって普通ある?
 お兄ちゃんだってあのときはただ妹に会えて嬉しいだけみたいだった。お兄ちゃんと付
き合っていた彼女の奈緒が消えちゃうのに何も悩んでいないみたいだったし」

「そんなわけあるか」
 僕はつい大声を出してしまった。「僕だって悩んだよ。でも、兄貴との再会に喜んでい
る奈緒に、もう恋人同士には戻れないんだなとか言えないだろうが。だから我慢したんだ
よ。家で一人で悩んだんだよ」

「あたしだってそうだよ」
 奈緒も大声を出して言った。「お兄ちゃんの態度にあたしも傷付いていたんだよ。この
間まで腕を組んだりキスしたりする恋人同士だったのに、何で平然とあたしのことを妹扱
いできるのよって」

 奈緒も僕とほぼ同じような悩みを抱えていたようだった。

「・・・・・・でも、おまえは僕の妹だよな」

「・・・・・・うん。あたしはお兄ちゃんの妹。それも明日香ちゃんみたいに血縁じゃない義理
の妹じゃなくて、実の妹だよ」

「じゃあ、やっぱり結論は変わんないじゃないか」

「お兄ちゃん?」

「うん」

「お兄ちゃんは明日香ちゃんのこと本当に好き?」


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