2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/16(土) 18:10:38.31 ID:mErWz44DO
─ 城・玉座 ─
王様「勇者よ、遠路はるばるよく来てくれた!」
勇者(女)「王国の一大事とあらばこの勇者、世界のどこからでも駆けつけましょう」
王様「うむ! よくぞ言ってくれた勇者よ!」
──ズイズイ。
勇者(女)「か、かおが近いです王様……」
王様「おお、すまんすまん! 『国難に立ち向かうため勇者に助力を頼む王様』というシチュにワシ、ちょいと興奮してしまったわい!
と、そうじゃ忘れておった!」
好々爺としていた王様の顔が急にキリと引き締まった。
王様「勇者よ、我が王国のため、その力を貸しては頂けぬだろうか? 頼む、首を縦に振ってくれ!」
だが王様の役はすでに台無しになっている。
勇者は引きつった笑みを浮かべながら頷いた。
勇者「は、はい。というか、そのために城まで来たんですし……」
王様「おお! 感謝するぞ勇者よ!
……というわけでワシの話はおしまい、事務的な話は大臣から頼む」
大臣「それでは勇者様、お手元にあるプリント『旅の友』の5ページを開いてください」
勇者(女)「は、はい……旅の友という名前の割りに辞典みたいな厚さですねコレ」
絶対に旅の途中で捨てられそうな旅の友をぺらぺらと勇者がめくる。
すると、大臣が続けて説明を始めた。
大臣「まずここ百年の王国の歴史をば……先代国王がうんぬんかんぬん……」
勇者(女)「……」
大臣「おやつは三百円までで……」
勇者(女)「……」
──いつまで掛かるんだろう?
勇者は大臣に気づかれぬよう、旅の友に顔を隠しながら小さくため息をついたのだった。
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