過去ログ - 【安価】フィアンマ「俺様は、インデックスを愛していたんだよ」
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987: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/03/13(水) 17:08:11.34 ID:Qy79oi9M0

神裂火織は、直感的に、嫌な空気を感じ取った。
聖人である彼女は、幸運だ。
幸運とは不運を免れる権利であり、嫌なことをあらかじめ察知出来る能力ということでもある。

故に。
彼女は、心が導くがままに、行動した。

「入ります……っ!」

鍵を気にせず、無理やりドアを開ける。
ガキャリ、という金属質な音と共に、ドアが破られた。
神裂はフィアンマを見、縄にかけられんとしている手を慌てて掴む。
視線の合った瞳は、明るい色合いとは反対に、恐ろしい程濁っていた。
何も感じられない。絶望、失望、悲哀、自嘲、そういったマイナスが綯交ぜになっている。

「何をやっているんですかあなたは!」
「…離せ」
「そんなことをしてッ、五和が浮かばれるとでも思っているんですか!」
「……離せと、言っている」
「五和は、ッ」

天使の力を封入したのだろうか、恐るべき腕力で神裂の手が払われる。
驚く神裂を見やり、フィアンマは、ギリ、と歯軋りをした。
八つ当たりをしまいと必死に堪えている事が、その表情から見てとれる。

「死者は何も思わん、何も考えない、悲しまない、笑わない、驚かない、怒らない、泣かない、心配しない。それが死ぬということだからだ。…もっと早く突き放しておけば良かった。もっと早く離れておくべきだった。俺様の迷いが、怯えが、五和を傷つけるだけでなく死に至らしめた。それなのに、俺様は何の痛みも負っていない。不公平だ。俺様が殺したようなものなのに、何の罰も受けないのはおかしいだろう」
「…貴男は、悪くありません」
「……それは、…お前が、…お前達が優しいから、俺様を責めないだけだ。俺様は間違えた。五和を自殺から救った事は良かったが、その後は間違えたんだ。好意に応えてやれないのなら、出て行けと言うべきだったんだ。何を言われようと迷わずに冷酷に突き放せば良かったんだ。………こんな不死の化物を、好きだと言ってくれたのに。基本的には死なない身体だと言ったのに、死なないで帰って来て欲しいと、泣いてくれたのに。どうして五和が死ななければならなかったんだ。全部、俺様のせいじゃないか。俺様がトールを救うと決断しなければ、魔神オティヌスと敵対しなければ、早くケリをつけていれば、…ずっと、独りでいれば、誰も傷つけなくて済んだ。誰も怖がらせないで済んだ。……誰も、……誰も、ッ、死ななくて済んだ!!」

罰を受けるべきだ、と彼は言う。
彼だって、一生懸命やったはずなのに。
心身ともに滅茶苦茶にされて、ズタズタに傷つけられて、血を吐きながら戦った。
沢山痛い思いをして、なまじ不死であるが故に五和よりも痛く苦しい思いをして。
それでも足りない、自分のせいなのだから、と彼は自分自身を責め続ける。
彼が五和を殺した訳ではないのに。彼の怠惰で五和が死んだ訳でもないのに。
罰されるべき罪は彼には無いのに、無理やり背負おうとしている。
それは救世主として産まれたものの宿命なのかもしれないが、あまりにも、哀しい。

「……俺様が、誰かを傍に置くと。…ロクな結果にならない。何百年も前に、学んだ、筈なのに。……今度は、守りきれると、思った。浅はかだった。傲慢だった……」

やはり、孤独であるべきだった。
想いを吐露して疲れたのか、フィアンマは静かに目を伏せる。

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