過去ログ - [安価][選択][コンマ] ダンガンロンパ 4 真
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951:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:44:02.71 ID:ZfgmnGXw0
去年、弟が帰らぬ人となってしまった。慌てて福岡から神奈川に駆け込んで、学園に寄ったが、みんな 悲しんでいた。そこにいる先生も、大人達も、おそらく学園長であろう人物も、みんなやりきれないよ うな表情だった。そこに、希望などない。立つことさえもできなくなりそうで、いつまでもここにいて はいけないと判断したところで遠くにもう何年も会っていない母親が泣いているのがみえた。


952:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:44:28.63 ID:ZfgmnGXw0
気の毒だった。今すぐにでも駆けつけてやりたかった。
でも、向こうは俺のことなんて忘れているだろう。
そんな中話しかけても終わってしまう、全てが。
だから自分にそう言い聞かせて福岡へと帰った。


953:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:44:55.04 ID:ZfgmnGXw0
酷いことこの上ない。親戚に話すとみんな泣いてしまった。弟のために。二回三回しか会えなかった、 記憶の中でしかない弟のために。ここでもかと溜息をついた。だから月下は自室にこもって、ずっと弟 のことを思い出していた。


954:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:45:30.16 ID:ZfgmnGXw0
あの時、弟と一緒にいることが幼いながらも幸せだって思えたのだろう。なのに、その幸せを、自由に なるために捨ててしまった。自由になりたくて、全てを捨てようという甘い考えが、後悔につながって しまった。どれだけ謝っても謝りきれない。もう実際に会って話すことはできなくなった。弟はもう死 んでいて、ここにいないのだから。


955:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:46:12.18 ID:ZfgmnGXw0
一体どれだけ後悔すれば許される?
何のために生きようとする?
自分がこうしてここにいること自体が間違っていて。
ひょっとしたら、やはり許されないのかもしれない。



956:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:46:48.94 ID:ZfgmnGXw0
できければ許されてほしいとは思う。家出をして、得たのはいいものではなかった。自分のためにでは なく、誰かのためだったら、少しは変わっていたかもしれない。悲しいことが、嬉しいことに。選択に よって、人生が変わるのも案外本当の話だと思った。



957:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:47:33.52 ID:ZfgmnGXw0
まずは、過去に浸っている場合じゃない。今、殺し合いというとんでもないゲームの真っ最中だ。こう している間にも、誰かが来て、会いそうになる。それで下手すれば殺されることだってあるはず。なる だけ速めにスピード出して歩いた。なるべく足音を立てないよう、慎重に行こう。銃声とか聞こえても 声を出さないように、そこも注意しなければ。
いつもが平凡で、平和だったことか、警戒の仕方が全くわからないでいる。信じることが何よりも大切 だとも考えたが、月下はそれも捨てた。誰かを信じようとすることは中々できない。ましてや、殺し合 いだ。みんな、自分が生き残りたくて乗っているかもしれない。



958:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:48:05.21 ID:ZfgmnGXw0
何を考えているんだ、俺は。
あの柴崎実倶瑠(女子9番)のグループ女子ならともかく、今まで関わってきたみんなが乗るなんてありえないことだと決まっているだろう?


959:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:48:38.96 ID:ZfgmnGXw0
足を止めて木に寄りかかり、滑り落ちるようにゆっくりと座った。まだまだ後悔しなきゃいけない。色 々考えてはいけないようだ。余計なことまで変に頭が回ってくる。溜息をつこうとした途端に走ってい るらしい足音が聞こえた。慌てて木の後ろに隠れ、様子を見ることにする。随分急いでいるみたいだが、 そういうのは普段許されることだろう。今は状況が違う。下手に動いたら誰かに狙われる。それで、死んだらそれは相手ではなく、自分のせい。自業自得ってとこか。


960:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:49:15.78 ID:ZfgmnGXw0
「本当にこっちで合ってるって!北へ直行!!」
「バカ言え。それと走るな、気付かれたらお前のせいだ」
聞き覚えのある声が響いてポカンと呆然する。北に行こうとしているのか、あの二人は。ここは色々考 えても仕方ない。素直に立ち上がって前へと歩いていった。
「おい、あんま大声で……」
言いかけてぎょっとする。目の前には全力で向かってくる麻月良也(男子2番)と火田美織(男子13 番)。このままだと思い切りぶつかってしまう。美織も月下と同じように目を丸くし、慌てて麻月の肩 をつかんで止めようとしているが、麻月の足は急に止まらない。
以下略



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