過去ログ - [安価][選択][コンマ] ダンガンロンパ 4 真
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972:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:56:41.99 ID:ZfgmnGXw0
大下香太(男子4番)はずっと長年一緒に学校生活を過ごしてきた水本かける(男子8番)を待とう として少し分校から離れた場所にいたが、次から次へと出発するクラスメイトを見てやはり分校から少し 遠い場所で待つことになってしまった。同じ机を並べて一緒に勉強した人達のことを少しでも信じてあげ られない自分がものすごく嫌になる。香太は溜息をついて辺りを見回した。
暗くて何もわからないが、木がたくさん並んでいた。島全体が緑に覆われているのか、ほとんど空より 濃い影を作っている。本当に人が住んでいた島なのかどうかもわからない。ちょっと頑張って歩けば家ぐ らいあるとは思うが、体力を考えれば、香太にはそんなことできる自信がなかった。何より、自分の身を 危険に晒してまでこの島を調べたくないという恐怖心がある。今はかけるを待つことだけを考えようとした。


973:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:57:21.22 ID:ZfgmnGXw0
随分時間が長く感じられる。もしかしたらもう出発してしまったのか、それとも。確かにここから分校は ちと遠いが、誰もこっちの方に足を運んでこない。途中でが分かれていたので、そっちの方に行ったのか ?そう思うと急に虚しくなり、立ち上がって別の場所を探そうと歩き出した。
 ったく何だよ。なんかさみしいじゃんか。
かけるに会えていないせいか、その虚しさは更に淋しさへと変わった。かけるとはいつも行動を共にした ことがあるため、余計それさえも楽しい思い出に変わり、早く会いたくなってしまう。火田美織(男子1 3番)にも会えないかと期待しているが、人生そう簡単にはうまくいかないことを香太は知っている。肩 を落として歩くのを止めてしゃがんだ。


974:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:58:03.36 ID:ZfgmnGXw0
こんなはずじゃなかった。本当なら、そのまま家に帰って両親に楽しかったことを報告して、友達ともメ ールをして、かけるとも騒いで眠りにつくはずだった。間違いで、プログラムに選ばれていなければ、ず っとずっと、これからも騒いで、一日を大切に過ごして、眠りについて、朝を待つ。そうして、みんなと 共に大人になっていくはずだったのに、こんなことで、全部なくなってしまうなんてありえない。信じた くも、ない。
そうだ、これが夢ならいいのに。夢であったらどんなにいいか。でもこれは現実だろ?銃声みたいなのも 聞こえたし、夢なんかじゃない。今起きていることが全部本当なら、一体俺は何をすればいいんだ?



975:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:58:40.93 ID:ZfgmnGXw0
急にはうまく行動できない。誰か一緒にいてほしい。すがるように香太は右から左へと見渡したが、今の ところ誰もいない。静かな世界が、香太の心の中にある孤独という名前の恐怖を増幅させる。ついに我慢 できずに、目的地が決まっているわけでもなく走り出した。自分の足音が余計に自分を深い闇へと引きず ってしまう。
 誰か、誰かいないのか。


976:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:59:10.89 ID:ZfgmnGXw0
叫びたくて、必死に声を出そうとしたができなかった。下手すれば殺されてしまうこともわかっていたた めに、空回りする。途中で転倒してしまい、あまりの痛みにすぐには立ち上がれなかった。こんな風に何 もないところで転ぶのは小学生時代以来かもしれない。その時は周りを気にしていられなくて泣き叫んで いたが、今はそれどころじゃなかった。今の転んだ音で気づかれたかもしれない。せめて、気づいてくれたのが、かけるや火田、その他、男子だったらいい。女子だけはどうしても弱いイメージがあって、情け なくてしょうがない。肩を震わせて、香太は必死に祈った。どうか乗っている人が近づいてきませんよう に。


977:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:59:49.99 ID:ZfgmnGXw0
「大下?大下か?」



978:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 06:00:15.62 ID:ZfgmnGXw0
光と低い声でハッと顔を上げた。そこには心配しているのか、首を傾げている在野友也(男子7番)が懐 中電灯を持って立っていた。在野のほかにも誰かいないかと希望を持ってみるが、それも無駄に終わった。 どうやら在野しか気づいていないようだ。しゅんと落ち込んでいると、目の前に手が差し伸べられた。
「ほら、立てるか?大下ってそんなに走るの下手だったかな」
小学校の時、同じクラスだったこともそういえばあった。運動会のリレーでは一番だったことで、在野は そのことを気にしているのか?そう思えば妙に納得がいく。香太も手を握り返して、在野の力を借りて立 ち上がった。


979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 06:00:47.53 ID:ZfgmnGXw0
「いや、もう怖くて仕方ないんだよ。よかった、在野がいてくれて」
「どうしてだ?」
きょとんと首を傾げている在野がなぜかおかしかった。心の中で苦笑し、香太は自分のさっきまでの気持 ちを語ろうと口を開いた。しばらくして、在野は一息をついた。
「何だ、同じこと考えてるじゃないか」
「え、在野も?意外だな」
以下略



980:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 06:01:29.31 ID:ZfgmnGXw0
「ざ、いの……お、前……っ」
「ただ、ゲームをやればいい。単純なことだろう?もう俺に怖いものなんか何もない」
冷たい風が吹いた気がした。今、夏でこんなに暑いのに寒いと頭の中が判断してしまっている。流れてく る血を見て香太は何となく思った。


981:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 06:02:08.72 ID:ZfgmnGXw0
ここで俺は死ぬのか。やっぱりこんなバカな奴が生き延びるはずないんだ。俺がいくら怖いと怯えても、 いくら嫌だとただをこねても、死ぬことには変わりなかったんだ……。


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