過去ログ - 一方通行「『こころ』かァ...」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/20(水) 17:12:12.88 ID:xsKxSN3q0
暫く散歩をした後部屋へ辿り着いた私は、新たに加えられた落書きを眺めていました。殺人鬼やら悪魔やらと、蛍光色の塗料が自己主張をしています。先程の連中が仲間に連絡してやらせたのでしょう。
こんなことなら散歩などせずに帰ってこればよかったと後悔が湧い出てきましたが、元から落書きだらけの部屋なこともあり、終わった今となればもうどうでもいいことです。
それに、いくら倒せるとはいえ、あんな連中とはそう関わり合いになりたいとは思いません。己の未来人に固執し、周りが見えなくなっている愚か共に付き合っていては、落ちぶれるのは目に見えています。
先程、私は堕落していると言いましたが、そんな私にも譲れない一線というものがあるのです。未来人に溺れない理性、こればかりは決して失わないようにしています。
そんな私の態度が気に入らないのか、2ヶ月前、上の人々はある課題を与えてきました。『絶対能力進化実験』それが、課せられたものの名称です。
内容は至って単純で、第3位のクローン20000体の殺害、たったそれだけのことです。それをこなせば、私の中の未来人はめでたくレベル6になるということらしいです。
私は最初、その話を断りました。己の信念に背く結果となるのが目に見えているという理由で。しかし、研究者はかぶりを振り、こう言い返して来ました。
「もし君が辞退するとして、クローンが残されたとしよう。彼女達は忠実であり、生身の人間であり、そして何より替えが効く存在なのだ。当然、非道な人体実験のモルモットにされるだろう。
そうなると、彼女達は永遠の苦しみを味わうこととなる。忠実であるとはいえ、痛みを感じぬ訳がない、辛くない訳がない。だがクローンであるために、ひと思いに殺してくれと嘆願することも出来ない。ただ、役割を全うするだけだ。
一方通行、残酷な話だが、彼女達は殺される為に生まれた存在だ。どう転んでも、生きていけるような道は現れない。それならば、お前が苦痛を感じる間もなく役割を全うさせてやってくれ。それが...最善の道なのだ...」
言い終わると、目の前の白衣は地に頭を擦り付けていました。今の言葉に偽りはない、その時の私にはそう言っているようにしか感じられました。
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