過去ログ - 一方通行「『こころ』かァ...」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/20(水) 18:25:28.79 ID:xsKxSN3q0

私は、暫く考えさせてくれと言ってその場を離れました。部屋まではかなりの距離がある筈なのですが、気が付くと目の前には見慣れたマンションが現れていました。歩いてきたのでしょうが、その間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまったかのようです。


その間、私の頭の中ではクローンの彼女達とあの研究者の言葉がグルグルと渦を巻いていました。いえ、それだけではないでしょう。私の過去も関係してくるのです。


そもそも、これまで積み上げてきたものが無ければ、返事はすぐにでも出せました。勿論、実験参加に承知をするというものです。しかし今まで能力使用に消極的だった私が、積極的に未来人へ身体を貸し渡すようになったとしたらどうなるのでしょうか。


恐れていたこと、つまり理性の消失が起こりうるのです。それも、高い確率で。己に酔いしれ、他人を攻撃し、快感を感じる...不良者の姿そのままです。堕落者の私でさえ、その姿には吐き気を催します。


しかし、断ると彼女達が生き地獄に晒されます。こんな未来人が住み着いたばかりに、私はこの街の闇を目にすることが多かったのですが、その中でも人体実験だけは別物だと声を大にして言うことが出来ます。目にするのもおぞましく、見かけた後の一週間は何一つ口に入りませんでした。この悲惨さは、言葉では表すことが出来ません。ですが、私がひと思いに殺してしまえば、そんな目に合わずに済みます。


そう、全てが私次第なのです。本当に上手く考えられている計画だと思いました。強制ではないのです、自分で決めるのです。責任から逃れることは出来ません。


上の人間は、私が必ず参加すると踏んで準備に取り掛かったのでしょう。20000人を[ピーーー]という大層な計画も、上手く誘導すれば実行に移せるのです。


私は、この実験に参加することに決めました。理性の崩壊も、努力次第ではどうにかなるかもしれません。道に拘るあまり、罪のない他人を苦痛に追いやるというのは心苦しいことです。


ですが、心に誓ったことがあります。それを達成するには、莫大な時を要するかもしれません。命すらも投げ出さなくてはならない可能性もあります。しかし、私は必ずやり遂げるつもりです。






この街の悪しき流れを止め、滅ぼす。それが、私のたったひとつの決意です。


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