過去ログ - 一方通行「『こころ』かァ...」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/23(土) 18:17:48.33 ID:Hv/gkLfG0
「なンかやる気でねェからパス」
「それは無理です、とミサカは樹形樹の設計者がしている時間まであと15分だということに焦りながら答えます」
部屋に入ってきた彼女の手には、その可愛らしい容姿とは対を成すような重火器が握られており、薄暗いこの場所では一層不気味さを表しています。相変わらず瞳には色が無く、生気を吸い取られているかのようですが、今日の彼女は昨日の彼女と少し違うのです。
言葉では焦っていると言っていてもそうは見えなかった以前とは違い、焦りというものがその様子から感じ取ることが出来ました。時々脚を動かすのは、焦りのなかに苛立ちも含まれている事を表しているのでしょうか。
何はともあれ、彼女の感情が多彩になっていることは確かなようです。この実験が始まってから2ヶ月しか経っていないことを考えれば、あり得ない速度の進歩だと言えます。
と、考えるのは後にしましょう。感情が多彩になってきたということは、恐怖も感じやすくなっている筈で、こうして私が黙り込んでいる今この間にも恐怖心が彼女を貪っているかもしれません。
彼女を恐怖から救い出す、それが私の使命です。結論の出ない今の私には、この選択肢しか選べなかったのです。
空となったカンをゴミ箱に捨てると、行くぞと声をかけました。分かりましたという返事と隠せない内心を受け取った後、本日の実験場に向かいました。
彼女は、実験開始の合図をするその時までずっと無表情でした。実験開始が己に向けた拳銃の引き金を引くことと同義であると理解している筈なのに、今まで通り無表情でした。それが、彼女の浮かべた最後の顔でした。
私の一撃で、彼女の頭部と胴体は永遠の別れを交わしました。10030番目の彼女は、こうして役割を全うしたのです。
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