過去ログ - 一方通行「『こころ』かァ...」
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36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/24(日) 10:02:38.33 ID:I4VuSpvK0
気が付くと、その場に残されたのは私一人となっていました。同じ顔をした人間がバラバラになった分身を片付けているという奇妙な光景も消え去り、ここは何の変哲もない裏路地として認識される筈です。
裏路地というものは、光の当たらない細道の事を指します。単に建物と建物の間の隙間が狭いだけの空間でなく、この場所は人々にある種の圧迫感を与えます。それは、長年の刷り込みによって生じたものなのでしょうか。それとも、本能的に暗く狭いこの空間を拒絶するのでしょうか。
私は、どちらも正しいのだと思います。幼い頃から不良者の住処と教え込まれれば拒絶するのは当然ですし、暗く狭い空間は人間を発狂させるという事実も挙がっています。ようは、そういうことなのでしょう。
ですから、分からないのです。私の胸に広がる痛みは、彼女の言葉があったからなのか、ここが裏路地だからなのかが、です。
彼女の言葉は、確かにナイフの形をしていました。そんなものが心に突き刺ったのなら、当然の如く痛みを感じる筈です。ですが、ナイフが投げられたこの場所が、もし明るい広場であったのならどうだったでしょうか。
私は、痛みを感じなかったのでしょうか。
私の心は、何も感じなかったのでしょうか。
終わった今となっては、確かめることは出来ません。
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