過去ログ - 一方通行「『こころ』かァ...」
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/24(日) 19:49:48.53 ID:I4VuSpvK0
「何で何も言わないの! 何とか言いなさいよ!! 」
第三位の方は今にも飛びかかってきそうな程、猛り狂っています。何も知らない彼女にしてみれば、自分の分身である彼女達を殺す私は憎き存在なのでしょう。
怒りで能力を制御しきれなくなっているのか、彼女の身体からは時折放電が起きています。その都度、憎らしい程小気味良い音が響くのです。バチン、バチンといった具合に。こう思うのは失礼かもしれませんが、滑稽さを感じてしまいました。
一方、10032番目の彼女達はただその場で突っ立っています。一応彼女がオリジナルであるということを認識しているようで、邪魔をしない為なのか微動だにしません。物騒な銃器は腕に抱えられたまま、月明りに照らされています。相変わらずの無表情、ですが、美しいと思いました。恐ろしくも、嫉妬を覚える美しさなのです。
「もういいわ、私がアンタを殺してこの実験を止める!! 」
遂に我慢の限界を迎えた彼女からは、フラッシュが焚かれたかのように光が放たれました。電撃、素晴らしい一撃だと思います。第三位という順位も納得の一撃でした。
ただ、私の未来人には遠く及びませんでした。
電撃とはエネルギーを持った電子の塊であり、当然のことベクトルが存在しています。どれだけ彼女が素晴らしい一撃を放ったとしても、ベクトルさえ解析出来れば何のことはありません。辺りに漂う電子のベクトルを未来人で行使して、それと同じ大きさのもので相殺すればいいのです。
その後も、がむしゃらに電撃が放たれ、その度に相殺されていきました。懐から取り出したコインに電子的な力を加えることで発射する、超電磁砲。彼女の代名詞とも言えるその一撃も、同じです。
いつの間にか、彼女の顔からは怒りよりも恐怖の感情が見受けられるようになりました。どうやら、私には精神感知系の能力が発現されたようです。それによれば、彼女の中からは怒りや希望といった上向きの感情が尽きかけており、怯えが大半を占めているとのことでした。
もう、限界でしょう。彼女は、攻撃を辞めました。一人の男が、手を肩に乗せた事をきっかけにして。
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