過去ログ - 一方通行「『こころ』かァ...」
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49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/20(水) 22:14:12.28 ID:HeAGaK+uO
その男は、見るからにボロボロでした。煤けた衣服の隙間からはみ出す傷跡が生々しく光っており、つい先程まで喧嘩でもしていたのかと思わされます。


それ以外の特徴としては、髪型がやや変わっているということでしょうか。髪の先を尖らせるというものが現代のファッションなのかもしれません。


目に着くのはそこだけで、あとは普通の男子学生と何の変わりもありません。そんな男がどうやってここに辿り着いたのか、何故ここに来たのか、私の中では思考が渦を巻き始めました。


肩に手を置かれた彼女は、そのまま地面へと崩れ落ちました。満身創痍、その四文字が見事に当てはまりそうな様子です。体と同様に目を伏せてしまったので表情が伺えなくなったのですが、微かに聞こえるしゃくり声からして、気持ちを抑えられなくなったのでしょう。


彼女はまだ14歳、こんな状況で自分を制御しきるというのは余りにも無茶な話です。この反応は至極当然のものであり幸せに育ってきた彼女であればなおのことでしょうか。


「......なんで、なんであんたが......」


「御坂、お前を助けに来た。文句は言わせない」


ここで、男の方が初めて声を発しました。それは、何とも透き通るようでありまして、それでありながら力強さというものが感じられます。いや、それ以上に感じたのは優しさです。傷ついた彼女のことを抱きしめる、暖かく、純粋な、優しさです。


彼女はもう何も言えないでしょう。一旦恐怖という鉄の鎖で縛られた心は、暖かさというものへの耐性を失うのです。付けられた鍵を外されたところで、何かが変わるという訳ではありません。


ただ、何も出来ないままなのです。


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