過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:30:22.99 ID:8gIDJxBio
その一言でどれだけ救われたか、京太郎はそう思った。恐らく一番存在を軽んじられているであろうと思っていた和にそう言われて京太郎はひたすら麻雀の勉強に費やした。
大会中の雑用もこなしつつ、教本を読み、ネト麻を打ち続け自分なりに修練を続けた上でのこの1局であったが状況は前述した通りである。
だが、圧倒的不利な状況でも京太郎は何とかベストを尽くそうと足掻いていた。そして8順目。
『京太郎手配』
11m34588s579p西西西 ツモ1m
(っ! 絶好のドラ引き!)
ここ最近で一番手ごたえがあるツモに喜び勇んで5筒を切り出し、千点棒を場に出して高らかに発声した。
「リーチっ!」
このリーチに対して3人は現物を切り出す。そして1発目のツモ。力を込めてツモるがそこに書かれていた絵柄に思わず心がざわめく。
『京太郎手配』
111m34588s79p西西西 ツモ6p
典型的な裏目。思わず歯ぎしりしそうになる京太郎だったがなるべく平静を装って場に切り出した。
(しょうがない。麻雀で裏目を引くのはしかたない、まだ終わったわけじゃ)
「ロンだじぇ」
京太郎の必死な思いをその声が無情にも打ち砕く。
『優希手配』
【5】5m99m67799s【5】5p北北
「仮聴だったけど出るならありがたくあがらせてもらうじぇ。チートイ赤赤。6,400点だじぇ」
「っ! ロクヨンってことは……」
「そう。リー棒出しちゃったから……ト・ビ、だじぇ」
「マジかーーーーーーーーー!」
しなを作ってウィンクしながら無情にそう告げる優希。それを聞いた京太郎はぐしゃり、と前のめりに倒れこむ。
京太郎の手配も倒れこんだがその手配と捨て牌を見比べて和は多少表情を和らげた。
「いえ、須賀君。結果的に振り込みに回ってしまいましたが別段間違いは犯してません。まっすぐ打てていたと思いますよ」
「そうだよ京ちゃん。8筒はおそらく全部山だったし、こればっかりはしょうがないよ」
そんなフォローが2人から飛ぶが京太郎はうめき声を返すのが精いっぱいだった。
無力感にさいなまれつつ、先ほど芽生えたしこりに気づかないように視線をそらし続けた。
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