過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:19:50.45 ID:8gIDJxBio
オカルトの風が吹き荒れるこのインターハイでいろいろと腹が据えかねるものがあったのか、滾々と和の口から湧き出る呪詛の言葉をあわてて押しとどめる。
思わずはっとなった和は軽く頬を染めながら軽く咳払いをする。
「……失礼しました」
「い、いや、別にいいけどさ。しかし……すまんな、和」
「? 何がですか?」
少し言いづらそうに視線をそらしつつ呟く。
「いや、その、大会中でせっかく休んでる最中に俺なんかのためにくだらない時間使わせちゃって。もうすぐ出番だっていうのにさ」
はは、と自嘲気味に笑う。烏滸がましいことだとは理解している。しかたがないことだとは理解している。それでも京太郎は周りに置いて行かれている、蔑ろにされている。そんな気持ちを抑えることができなかった。
普段はあまり自虐的なことなど言わないとは京太郎自身思っていたがそんな精神状態のせいか、思わず口に出てしまう。何を言ってるんだ、と激しく後悔しそうになるが見る見る不機嫌な顔になっていく和に驚きの感情で塗りつぶされていった。
「くだらないってなんですか?」
「えっ、いや、だって」
「私が初心者の須賀君に対して、経験者が初心者に指導をする、初心者が経験者に対して教えを乞う。それがそんなにおかしいこと、くだらないことなんですか?」
麻雀はガチガチのデジタル思考であり、機械のように冷静沈着正確無比。そんな原村和だが一歩卓から離れると非常に感情が表に出やすい。
京太郎はそんなことを考えながら思わず身震いする。彼女は怒っていた。それも猛烈に。
「その……大会中だし、和も忙しいし自分の時間もほしいだろ? ほら、俺の始動で時間を使うよりはその」
「須賀君!」
ごにょごにょと、とりとめのない言い訳をする京太郎を一喝する。京太郎はびくりと体を震わせ恐る恐るといった感じで和と目を合わせた。
「いいですか須賀君。私とあなた、同じ清澄高校麻雀部ですよね?」
「……」
「返事は?」
「は、はい!」
「そうです。同じチームメイトですよね? それなのに何故、貴方が教えを乞うことに遜ったり卑屈になる必要があるんですか?」
「いや、だって、和はレギュラーメンバーだし、インターミドルチャンピオンだし、悪いなって……つまらないこと聞くと、その、怒られそうだし……」
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